学校(王道)5題

□雨が降る屋上で
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「はぁはぁ……ひばっ…さ…!どこにいるんですか!!?」




大好きな、彼の姿が見当たらない。




いつもなら昼休みは絶対に応接室にいるはずなのに姿はなくて、草壁達に聞いても首を横に振るばかりで。


一度も姿を見ていないと言う。



それで心配して雲雀を捜しているというわけだ。



しかし、当の本人の姿は全然見当たらない。



(今日は雨だし、外にはいないと思うけど……)





疑いながらも屋上の扉を開ける。




ガチャリ ギイイイィィ




錆びて固くなった扉を開くと途端にザアアアァァと雨の音が聞こえてきた。


空はどんよりと灰色に染まっている。



(まさかいないと思うけど…)



持ってきた折りたたみの傘をさして、きょろきょろとあたりを見回す。



(あっ)



空と校舎の織り成す、灰色と白のコントラストの中に、ぽつんと黒。



その姿はタンクのある一際高い位置。



(見つけた)


「ひばりさんっ!」





声を張り上げて叫ぶと、雲雀はこちらを見た。

その表情は何かを思いつめているような顔。




雲雀のところまで水たまりをよけながら進み、一際高い所へよじ登る。


苦労している綱吉に、雲雀は手を差し伸べた。


(よいしょっ)



雲雀の手を借りてよじ登ると、雲雀の横にちょこんとしゃがんだ。


傘を雲雀と自分の頭上にかざす。




「ひばりさん、こんなところにいたんですね」




「うん」




「すっごく探したんですよ!!」




「そう」




「…しっ心配で心配でひたすら探して…無事で…よかっ」



ふいに涙が込み上げてきた。
その途端に抱きしめられる。

シャツがぐっしょりと濡れているけれど、そんなこと全然気にならない。




「だいすき、ですっもっ心配させなっでくださ



嗚咽がもれてうまくしゃべれないオレ。


けど雲雀さんは優しく頭を撫でてくれた。




「帰ろっか、綱吉」




「…はい」



白と黒のコントラストの間に、黄色の水玉模様。



    *    *    *



「ところでなんで雲雀さん、屋上にいたんですか?しかも雨振ってるのになんで
 

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