...小説

□『君と一緒なら』 1〜8話(未完)
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【第3話】

時は過ぎ、もう昼休みになった

「蓮ーお弁当持ってきたよー?」

「おっ、サンキュー」

「どういたしまして」

「いつも妃菜が神崎の弁当作ってるよな?」

亜梨沙は蓮が持っている弁当を取り上げた

「俺の両親は共働きで忙しいからって妃菜が作ってくれるようになったんだよ」

「妃菜ちゃんはお料理上手いですからね」

静香がいつのまにか近くに来ていた

「えー上手くないよ」

「上手いですよ」

「ってかいい加減返せっ!」

蓮は亜梨沙から素早く弁当を取った

「あっ、ちぇー折角あたしが食べてあげようと思ったのに…」

「余計なお世話!」

蓮はもう取られないように自分の腕にすっぽりと隠した

「じゃあみんなで外で食べない?すっごい葉っぱが綺麗だよ〜」

妃菜の目線はもう外の木々に移っている

「うん、行こう」

いつのまにか紀隆もいた

皆で教室から出ようとした時柚穂が妃菜に思いきりぶつかった

妃菜はバランスを崩し倒れた

「あ、ごめんねー。小さくて見えなかったー」

妃菜は俯いてる

「てめえ…」

蓮が何かを言おうとした時妃菜が蓮の裾を引っ張り止めた

「蓮、いいから。浅野さん、ぶつかっちゃってごめんね。
 私小さいからよくあるんだよねー。じゃあね」

妃菜はスカートをはたきながら笑顔で言い教室を出た

「おい、妃菜いいのかよ?」

「うん、だってあっちにも理由があるんだしいちいち相手にしてられないよ?」

「理由って言ってもお前は悪くないだろ?」

「そうだけど…でも浅野さんだっていつかどうでもよくなると思うし」

「まぁ…妃菜が良いっていうならいいけどさ…」

「うんっ!あー私お腹空いちゃった」

妃菜は全く気にしていなかった

蓮はそれでも心配そうにしている

「神崎ーそんなピリピリしてるとはげるぞ?」

「はぁ!?てめえ何言ってんだよ!」

「ほらーすぐ怒る。眉間にしわはよくないぞー」

「誰のせいだと!」

「亜梨沙と神崎君はいつも仲いいですよね」

「そうだな」

「「よくないっ!」」

いつもこんな感じだ

蓮と亜梨沙はいつも喧嘩をして静香と紀隆は静かに見ている

「もー二人とも早く行かなきゃ昼休み終わっちゃうよ?」

そして妃菜は仲裁

妃菜が言うと2人は必ず大人しくなる

「着いたー」

大きな木の近くにベンチがある

ここがいつもの場所だ

「「「「「いただきまーす」」」」」

皆で弁当を広げ食べ始めた

「あっ…」

「妃菜、どうかしたか?」

「さっき転んだせいでお弁当ぐちゃぐちゃ…」

ぶつかった時に落としていたようで中身が崩れている

「妃菜ーあたしの弁当と交換しよっか?」

「私のでもいいですよ」

「亜梨沙ちゃん、静香ちゃんありがとう。でも食べれるし大丈夫だよ」

妃菜はそれを食べようとした

「俺のと交換しようぜ」

蓮は妃菜が言う前に自分の弁当と妃菜の弁当を交換した

「え?いいってー」

「いいから。俺は崩れた方が好きっていうかー…。まあいただきます!」

蓮は妃菜に気を使わせないようにすぐに食べた

「もー蓮ってば…ありがとね」

「どういたしましてー」

蓮は口に食べ物を入れながら喋ったので実際にはなんて言ったか分からなかった

それでも妃菜は嬉しそうに微笑んだ

「でも蓮の弁当って華宮さんの2倍くらいあるんじゃなかった?」

紀隆がぼそっと言った

「あ、そうだったね。じゃあこっちのお弁当は半分こ」

「おう」

何気ない時間が過ぎている

静かにこんな時間が崩れてしまうとはまだ誰も知らなかった
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