君の心臓になりたい

□背に腹は代えられない
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「すごい霧、もしはぐれたりしたら二度と辿り着けなさそう…」

地上に出た喜びも束の間、先程となんら変わりなくひたすら続くマラソン。変わったことと言えば足元がぬかるんでいることと、濃い霧で視界が悪いことぐらいかな。さっきよりも過酷な状況であることは間違いない。
それにここは地下通路とは違い、多くの未知生物が潜んでいる。いつ罠にかかってもおかしくない。

「さすが“詐欺師の塒″って呼ばれてるだけのことはありますね。」

私はさっきの出来事を思い出して身震いした。試験管に化けた人面猿に惑わされた受験者、そして迷うことなく攻撃をしかけたヒソカさん。あの状況を目の当たりにして改めてこの世界の恐ろしさを痛感した。
だけどキルア君との約束のためにもなんとしても合格しないと!

そして私は、あることに気が付いた。さっきまでは返事をしていてくれていたイルミさんがなぜか全くの無言。ふと私の頭に恐ろしい可能性が浮かぶ。


「イル…じゃない、ギタラクルさん…?」

恐る恐る辺りを見回す。けれどさっきまで視界にあったはずのあの派手な衣装はどこにも見当たらない。
も、もももしかして…いや、もしかしなくても…!!


「は、はぐれちゃった…。」





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