君の心臓になりたい
□旅は道連れ世は情け
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「あぁ!すっかり忘れてたわ!!棗さん、あなたもイルミと一緒に行って欲しいの。」
「はい!……はい?」
突如キキョウさんに言われたこの一言。
え…えぇ?ななななんで私が!
「あ、なにもあなたにハンター試験を受けろと言ってるんじゃないのよ。あなたの戦闘能力が皆無なのは良く良く知ってるいるもの!」
「は、はは…」
キ、キキョウさん…
確かにその通りだけれど、そこまで言われると流石に傷付く。
「棗さん、あなたにキルを探して来て欲しいの。」
「え………」
予想もしていなかった言葉。あたしがキルア君を探す…?
「パパがね、キルもハンター試験を受けてるかもしれない、って言うのよ。」
キキョウさんは、そう言ってシルバさんの方を見た。
シルバさんは新聞から顔を上げ、私の方を見た。
「確証は無い。だが、他にすることも無いだろうしキルなら受けかねない。」
…確かにキルア君の実力なら合格も夢じゃないだろう。それにシルバさんが言うと説得力がある。
「わかりました。で、でも私なんかで大丈夫なんでしょうか?」
「キルはあなたに懐いていたからあなたが適役なのよ。よろしく頼んだわね!」
私には、キルア君が出て行った本当の理由は分からない。きっとキルア君にだって色々と考えがあるんだろう、それは分かってる。
だけど、やっぱり私はキルア君に戻ってきて欲しい。
またいつもの様にくだらないお喋りをしたいし、小生意気だけど何故か許せてしまう小言も無くなると何処かさみしいのも事実なわけで。
「はい、分かりました!…頑張ってきます!!」
そんな思いで返事をしたのだけれど……
うぅ、こんなに期待されるとちょっとプレッシャーだなぁ…
で、でもイルミさんもハンター試験を受けるんだよね、じゃあ一応一緒に行けるわけだ!
「あ!イルミさん、ふつつか者ですがよろしくお願いします!!」
「え、オレ君と一緒に行くの?」
きょとん、とつぶらな瞳であたしを見るイルミさん。
「え、行かないんですか!?」
「うん、1人で行くつもりだった。」
そ、そんなあっさりと…
あたしみたいに弱いのが1人で行っても、あっという間に死んじゃうのがオチだ。なんとしてでも一緒に行かせてもらわないと…!
「そ、そこをなんとか!頑張ってお役に立ちますからッ」
「…別に良いけど、ジャマだけはしないでね。」
「は、はい!やったぁ、ありがとうございます!!」
こうして、なんとかイルミさんについて行かせてもらえることになった。
イルミさんを待たせる訳にはいくまいと、慌てて荷物をカバンにつめた。
とりあえず一通りの着替え。それから医療セット!これは職業柄手放せない。
「それじゃあ、いってきます!」
そして、みんなと短いおわかれをし、イルミさんと私はククルーマウンテンを後にした―…
To be continued...
( 09.10.02 はなの )