旅団シリーズ(クロロ)
□こんな筈じゃ、
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6限目。先ほどの出来事にイライラしつつ、席を離れるわけにもいかないあたしは、これ見よがしにそっぽ(つまりは窓の外)を向き不機嫌さをアピールしていた。
…と言うのはあくまであたしの中だけの話で、当の本人ルシルフルはそんな思いを知るはずもなく、なにやら熱心に本を読んでいる。
(…なんなんだ、こんなにも不機嫌オーラをだしてるのに!無視?謝罪もないし!!)
なんて小学生のような考えに我ながら呆れる。だけど、それはお互いさまだと思うのだ!
我慢出来なくなったあたしは、怒りによって席替え当初の恐怖がすっかり消え去ったこともあり、ルシルフル君に話しかけた。
「……………ちょっと。」
…だがしかし返事は無い。え、なに。あたし無視されてる?
「………あの、ルシルフル君!」
先生に注意されない程度の最大の声で再び呼びかける。と、ようやく本から顔をあげたルシルフル君がこちらを向いた。
「ん…なんだ、オレか?」
どうやら彼は自分に話しかけられているとは気付いていなかった様子。
「そうです貴方です!さっきはよくも騙してくれたな、おかげで恥かいたんだから!!…そりゃ、起こしてくれた事には感謝してるけどさ!」
怒りを露わにきつめの口調のあたしとは逆に、終始落ち着いた様子のルシルフル君。
「…さっき?オレが何かしたか?」
かっちーん。コイツもう忘れたのか!
そうかそうか、そうよね。だいたいこう言う事ってした側は覚えてないもんなのよね。
あたしはあんなにもキルア達に馬鹿にされたって言うのに、あーあ。
「…イビキがどうとかってヤツ!!忘れたのとは言わせないわよ」
「…あぁ!なんだ、そのことか。それがどうかしたか?」
ようやく思い出した割にはけろっとしている。なんてヤツだ、むしろ呆れて怒りも消えうせる。
「…いや、もういいや。なんて言うか怒る気も無くなったわ。所詮は寝てたあたしが悪いって言うのもあるしね」
ははは、と乾いた笑いを残し前に向き直ったのもつかの間。再びルシルフル君の言葉に横を向くはめになる。
「…ひょっとしてアレ、真に受けてたのか?オレとしては軽い冗談のつもりだったんだが」
「………え?」
え、軽い冗談?あんな真面目な顔で?
ちょっと待て、あたしには貴方のキャラが全く掴めない!!
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