飛べない天使
□第1話::銀色の少年
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「それにしても遠いなぁ…」
杏は先ほどナビゲーターにもらった地図を手に、ひたすら試験会場を探し歩いていた。
地図には1ヵ所だけ★印が付けられている。どうやらそこが試験会らしい。
「たしかナビゲーターさんは、『★印の場所に着いたら"ステーキ定食弱火でじっくり"を注文しろ』って言ってたけど…どう言う意味なのよー」
なぜ試験会場でステーキ定食?とは思いつつも、会場に着けばわかるだろうと楽天的に考えていた。
「うーん、確かにザバン市のツバシ町だよね。ここであってるはずなんだけどなぁ…」
地図通りだとこのあたりに試験会場があるはず。…けれど当たりにそれらしい建物は見当たらない。
「おかしい…絶対おかしい!この地図通りだとしたら…どう見たってこの定食屋が★印に位置に値するもん!」
どう考えても定食屋=試験会場と言う風には結びつけられない。
その時、ふとナビゲーターの言葉を思い出した。
「そーいえばステーキ定食って言ってた…ってことは!やっぱりここであってる…?」
何が起きるか分からないのがハンター試験。それを考えれば試験会場が定食屋でもおかしくない。
「よっし!このまま立ちっ放すのもなんだし、とりあえず入ってみよっと。」
そう決意し、定食屋へと足を踏み入れた。
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