飛べない天使

□第2話::一次試験
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「でさ、なんで杏はハンター試験を受けようと思ったわけ?」


地下道にもだんだんと人が増えてきたものの、なかなか試験は開始されない。
退屈したキルアと杏は隅に座り込み、話をしていた。


「あたしのね、両親がハンターだったんだ。だからあたしも両親と同じハンターになってみたいなぁと思って!」
「へぇ…」

「それに…」

続けようとして杏は言いよどんだ。この話についてはまだ確かではないし、自分でもよくわかっていないからだ。


「…それに?」

そんな杏の様子を不思議そうに見ながらキルアが続きをうながした。


「…それに、探してる物があるんだ。」
「探してる物?」
「うん、実はあたしもまだよくは分からないんだけど…どんなことにも効くと言われてる゛幻の秘薬゛を探してるの。
噂によると、今は幻影旅団って言う盗賊グループが持ってるらしくて。それを探すためにもハンターになりたいの!」


それを聞いたキルアは驚いたような顔をした。

「秘薬ってことは、杏って何か病気なのか?」
『し、しまった…!』


杏は言ってしまってから後悔した。杏が秘薬を探しているのは病気のためではなく、背中の゛ツバサ゛のためだ。

秘薬の効果があるかどうか定かではないが、杏はひょっとして自分も元の体に戻れるのでは…と言った安易な考えで探すことに決めたのだった。


「いや、それは…」


キルアにならツバサの話をしても良いかもしれない、と杏は思った。

だけどいちから話せば長くなるし、なかなか理解して貰えないかもしれない。


「…?どーしたんだよ。」
「実はあたしね、病気とかじゃなくてー…」


杏が意を決して話そうとした時―…




ジリリリリリリリリリリリリリリリ!!!


「「!?」」


地下道にベルの様な音が響き渡った。



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