飛べない天使

□第3話::こころね
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一次試験開始から既に6時間程度が経過していた。しかし未だ脱落者は1名…


「つ、疲れたぁ…!まだゴールじゃないの〜?!」
「くそぉ〜…オレはフリチンになってでも走ってやるからなぁ!」

バテ気味な杏とリオリオ。
レオリオにいたっては、既に上半身はネクタイしかしていない。


「大丈夫か2人共、…しかしレオリオ、女性もいるのだからもう少し発言に気をつかったらどうなんだ…」


一方、まだ少し余裕のあるクラピカは、レオリオの発言に少々呆れ顔だ。



その時、
「み、見てアレ…!」
「「??」」

杏の指した方向には、先の見えない程の階段が広がっていた。


「な、なんじゃありゃあ!!」
「くそぉー…この上階段だなんて……!何が何でも、絶対のぼりきってやるんだから!!」


必死に頑張る2人の姿を見たクラピカは、
『私も少しは見習うか…』
上着を脱ぎ、鞄へとしまった。




「ところでよ、何で杏はハンターを目指してんだ?」
「私も聞きたいな。君の様な若い女性がハンターを志望しているのは珍しい。」


レオリオはあまり余裕がないのか、すごい形相だ。それでも、気を紛らわそうと杏に話かけてくれている。

杏は話して良いのかどうか、一瞬迷った。だけどこの人達になら話せる、そう思い口を開いた。


「実はね―…」


杏は自分の両親のこと、自分の住んでいた町の政策のこと、人体合成によってつくられた自分のツバサのこと、幻の秘薬のこと、そして幻影旅団を探していることを全て話した。



「ひ、ひでぇ…生まれて間もないガキに人体合成をするなんざ、ひどすぎるぜ!」


レオリオとクラピカは驚きを隠せず、信じられないと言った様子だった。
そしてクラピカは真剣な表情で杏にたずねた。


「幻影旅団を探しているのか…?」
「うん。実はまだ、あまり詳しいことは知らないんだけどね…」


クラピカは少し考え込むようにうつむいた。


「…どうしたの?」


杏は、急にだまりこんだクラピカを不思議に思い、首をかしげた。



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