小説

□沈む紅
1ページ/1ページ



※クリスマス直前の柳生イベント(?)



ネットリとした暗闇が
視界の中の風景を全て包み込んでしまった
何も、視えない──

そう思った刹那、
腹部に感じた衝撃の様なものが僕自身を簡単に貫いたのが解った。


痛みを感じる暇もなく
僕は冷たい地面へと叩きつけられ、塗りつぶされた世界にひたすら目を凝らし、衝撃の原因を探そうとしたが

流れ出る鮮血が脳から思考力をゆるゆると奪ってゆき、探すのは困難だ。

「裏に潜みし陰の龍よ」


残念だったな、と



「や、ぎゅ・・う」


耳元で微かに聞こえたその声。
それは紛れもなくヤツの声で、その憎々しい表情が脳裏を過ぎった。



「皆、逃げ・・、て」



躰に力が入らない
意識が朦朧としていて
もうそれ以上僕は何も考えられなかった。



嗚呼


視界が

意識が

身体が───





何もかも途切れて、千切れて総て無くなってしまう。
(早くこの焦燥感を、)


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ