小説

□僕らの思い出旅行
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※こんな話をぼんやりと考え中
※あくまでぼんやりなのでグダグダ






──、狭い車内だというのに吐き出される息は何故か白い。

かじかむ手足を摺り合わせながら後部座席に陣を取っている蓬莱寺京一は隣に座っている瑞希を何とも慣れた手つきで引き寄せ抱きしめた。

「うわ、雨降ってきたぜ」

窓に音を立てて打ち当たる滴に気がついて、さらに両手をすりあわせた。
どうやら相当に寒いようである。
まぁ、ろくに暖房が利かない車で真冬の山道を真夜中に走行しているのだから、寒くないわけがないのだが。

けれど京一以外のメンバー緋勇龍麻、醍醐雄矢、如月翡翠、奏也瑞希は京一の様にさほど寒さを気にする様子はない。

「んだよ、お前ら寒くねぇのか?」

「僕は両側に醍醐と京一が居るからあったかいよ」


京一の腕の中で大人しくしていた瑞希は、にこりと人なつこい笑みを浮かべると幸せそうにそう答えた。
(瑞希は子供体温なので最初から寒くはなさそうだったが)


「これくらいの寒さなら修行と思えば堪えられるだろう?」

と、助手席に静かに座っていた如月はさも当然の様に後ろを振り返りながらそう答えたが、残念ながらその意見に賛同してくれるのは醍醐くらいしか居ない。

お前らに聞いた俺がバカっだったぜ、と諦めたようにため息をついた京一は先ほどから黙々と車の運転に勤しんでいる緋勇に目線をやった。

「そういや、お前いつの間に免許なんかとったんだ?やたらと運転上手いけどさぁ」

「それは色々と諸事情がだなぁ」

「は?」


暫しの沈黙。
静かに苦笑いを浮かべている瑞希に気がついた京一は疑問の目線を緋勇から隣の人物に移した。


「なんだ?」

「ひーさんはね、中学の時から免許持ってるの」

「はぁ?!ちょ、何でだよバカじゃねぇのお前!
どんな裏技使ったら可能なんだよ!」

「うっせぇ俺のお陰で旅行に行けるんだろーが、むしろ感謝しやがれ」


「龍麻、蜜柑を剥いたが食べるか?」

「喰う」

「空気を読めよ亀!!
てかこの寒いのに蜜柑かよ!」

「失礼なっ、冬は蜜柑が常識だろう?」

「それは炬燵とセットの場合だろうが!」


まったく騒がしい事この上ない車内だ、と溜め息をついた醍醐は京一の腕の中の瑞希をさり気なく奪い返した。
少し不機嫌そうな顔をしているのは気のせいではないだろう。


「そういやさ、お前ら所持金はいくらある?」


と、口に出したのはこの卒業旅行(?)を計画した張本人の緋勇。
一体この旅が何日続くのかは仲間すら、いや、本人すら知らないのだから残金の具合で旅の中身が大分違う。
死活問題だ。

「如月はいくらだ?」

「6万、はした金ですまないな」

「醍醐は?」

「如月も結構持ってきてるんだな、俺は大分少ないが2万だ」

「あんまり期待してないけど京一、お前は?」

「──お前ら、なんだってそんなに金持ってんだ?!ちくしょう!貧乏旅行上等だぁ!」

「京一」

「〜っ!、ご、5千円で悪かったな!」







「よし、今すぐ降りろ」
(極上爽やかスマイル)


「なっ・・!」

「で、瑞希はいくらだ?」

「えーとね、18万、かな」

「思ったより少ないな
俺が14万だから、まぁ資金面は大丈夫だな」

「お前ら高校生のくせに大金持ちやがって・・っ


緋勇、今からでも遅くないぞ・・、自首しろ」

「なんだとコラ、急カーブで振り落とすぞ」

「じゃあその金はどう説明するつもりだ!」

「それは勿論」



「「主人公だから☆」」



ピッタリと息のあった瑞希と緋勇の顔には素晴らしい程の堂々さが見て取れる。



「京一、いっつもお前らの装備、誰が自腹出して買ってると思ってんだ?」

「すいませんこれからもお世話になりますっ!」

「すごい身代わりの速さだねぇ」



のんびりと笑う瑞希につられて緋勇も笑った。
京一も醍醐も如月も、皆一様に楽しげに頬を緩ませている。


山道を走る彼らの車からは、ひっそりとした夜の空気を蹴散らす様な笑い声が響いた。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ドキッ☆野郎だらけの卒業旅行!

とりあえずひーさんは温泉旅館を目指して車を走らせてます。
だが遠い。

温泉が目的というよりも車でダラダラ走る旅が目的っぽい。
皆で知らない街とか探索したり、途中事件に遭遇したり解決したりするんだろうなぁコイツ等。




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