小説

□もしも君が死んでしまったら
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・もしも君が死んでしまったら・
(颯波目線)




「瑞希ィィ!!」

龍麻の叫び声が闘いの最中、突然耳に届いた。

その声につられて反射的に瑞希がいる方向に顔を向ける。



瞬間、何故か全身に嫌な鳥肌がたった。


敵が目の前まで迫っているのに瑞希は動こうとしない、

いや


動けない・・・のか?


ダメだ
そう思うのと同時に僕も龍麻同様に叫んでいた。

「みーちゃん危っ!」



けれど、その叫びは最後まで言い切ることが出来なくて喉の奥で曖昧な音となって掻き消えてしまった。





僕の声が届くより一瞬早く、弾かれた様に瑞希の身体から鮮血が吹き出た


そして、瑞希の身体はバランスを崩して大きく傾いた

スローモーションの様に瑞希はゆっくりと、支えを失った人形の様に倒れていく


必死で手を伸ばしたけれど、それは届くことなく



瑞希の身体は呆気なく地面に叩きつけられた。



「うぉぉおお!!」



直後、一番先に正気を取り戻した京一が瑞希に手をかけた敵を蹴散らしていた。

「おら、颯波までぼけーっとしてるんじゃねぇっ」


「瑞希くんっ、今治してあげるから」


続いて美里が瑞希の身体に手をあてがって、氣を練りはじめた。


「醍醐も小蒔もしっかりしやがれ!」


京一がそう叫ぶ。
その声に、今まで呆然としていた2人はびくりと体を震わせた。


「っ・・京一くん、ダメっ私の手に負えないわ・・桜ヶ丘に!」



大量の汗を流しながら美里はそう京一に向かって言った。

どうやら美里の全力の治療でもダメらしい。

それを聞いた京一は醍醐をチラリと見て、醍醐もそれに応えて頷く。


「行くぞ、醍醐」


龍麻も不安げに瑞希を見つめている。
醍醐はグッタリとした瑞希を抱えて走り出した。

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