小説
□霞んでしまわぬよう
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「雄慶、俺さ・・・・」
「何だ?」
「俺、女だったら良かったのに」
「・・・?」
「そうしたら、ほら・・雄慶の隣にいても可笑しくないだろう?
それに、さ・・・きっと家庭もつくれた」
「瑞希・・・」
「何を馬鹿な事を・・、
俺は今のお前が好きなんだ。
そんな自虐的な事は言わんでくれ」
「・・・ごめん
ははっ、でもさ、俺が仮に女でも
雄慶はお坊さんだから家庭持つなんてどっちみち無理だね・・・、結局」
「俺さ、生まれ代わるならとびっきり良い女になって、醍醐のお嫁さんになりたい」
「そりゃあいい、絶対幸せにしてみせる」
「・・・・、醍醐、大丈夫
俺、今でも十分すぎるくらい幸せだよ
俺には不釣合いなくらい・・ね」
醍醐、
だから、もう良いんだ
「こんな死にぞこないの俺なんて見捨ててくれ」
幸せのまま、逝かせて
「だけど、次は絶対に」
一緒になろう。
「今まで縛りつけててごめんな」