小説

□霞んでしまわぬよう
1ページ/2ページ

「雄慶、俺さ・・・・」

「何だ?」






「俺、女だったら良かったのに」



「・・・?」






「そうしたら、ほら・・雄慶の隣にいても可笑しくないだろう?
それに、さ・・・きっと家庭もつくれた」


「瑞希・・・」








「何を馬鹿な事を・・、
俺は今のお前が好きなんだ。
そんな自虐的な事は言わんでくれ」



「・・・ごめん
ははっ、でもさ、俺が仮に女でも
雄慶はお坊さんだから家庭持つなんてどっちみち無理だね・・・、結局」









「俺さ、生まれ代わるならとびっきり良い女になって、醍醐のお嫁さんになりたい」


「そりゃあいい、絶対幸せにしてみせる」










「・・・・、醍醐、大丈夫
 俺、今でも十分すぎるくらい幸せだよ
 俺には不釣合いなくらい・・ね」












醍醐、




だから、もう良いんだ





「こんな死にぞこないの俺なんて見捨ててくれ」






幸せのまま、逝かせて











「だけど、次は絶対に」












一緒になろう。





「今まで縛りつけててごめんな」

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ