小説

□それはとても微妙な感情
1ページ/1ページ


「醍醐ってさ、僕が女の子の身体の時は抱いてくれないよね」


「ぶはっ」


久しぶりにお姫様たちがいないお昼休みの昼食時間。

屋上でのんびりとご飯を食べている最中に瑞希がポツリと呟いた言葉に
京一が盛大に吹き出した

「なっ・・」


無論、京一だけではなく同席していた龍麻も驚いた様に素っ頓狂な声をあげた。


「瑞希っ?!」


急に話をふられた醍醐も何が何だか分からない、という顔をしている。



「僕、寂しいな」


でもそんな周りの反応は気にしない風に瑞希は醍醐を見つめながら続けた


「醍醐・・、お前やっぱり幼気な瑞希を手込めにしてやがったのか!」

「落ち着け龍麻っ」


「お前だけはそんな奴じゃないと思ってたのに」

「京一落ち着け、泣くな」


飛び交う2人の怒声に慌てふためく醍醐。
何かを弁解しようとしているが動揺のせいで何も言えていない。


嫌な汗を流しながら
騒ぎの元凶となった瑞希の方を振り返った。

瑞希はキョトンとしながら醍醐を見つめ返す。



「瑞希、お前は言い方がっ・・!」

「だめ?」


「やっ・・・」


「・・むぅ、良いもん。
紫呉さんに頼むから」


「それはっ、あの」





「醍醐」




柔らかい笑顔で両手を広げる瑞希。
醍醐は緊張したように動きを止める。



「・・だめ?」



ぎこちない足取り。
醍醐が瑞希の正面で立ち止まる。


左右に広げられた瑞希の両腕の下に、醍醐が両手を滑り込ませた。



それと同時に地面から瑞希の足先が離れた。

ふわりと、まるで重さを感じないようだ。



「へへへっ」








「なぁ龍麻」

「何だ京一」


「やっぱ瑞希が言うことってやっぱこの程度だよな」


「・・だな」









「「抱っこてお前」」







おわっとけ






・追記


「ねー、なんで女の子のときは抱っこしてくれないの?」


「や、あの



女の子って触ったら壊れそうじゃないか?」



そういう理由らしいです


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ