小説

□御免なさい、と唯一言
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「ごめんね、醍醐
僕は醍醐が好きなんだ
愛してるよ、」


気持ちに堪えきれず
自分でも驚く程にするりと口から零れたその言葉に君がはっきりと困惑と嫌悪の表情を示したのを見て、

ああ、やっぱり
と、胸を抉られるような絶望感と
ああ、よかった
と、何処か安心してしまった自分に思わず苦笑した。

「ごめんね」

いつも通りを装って
そう呟き、僕は全速力でその場を走り去った。


やはり、醍醐にはもう嫌われてしまったのだろうか
やはり、もう今までみたいな付き合いは出来ないのだろうか


それじゃあ僕は明日からどうやって生きていこうか


そんな事をグチャグチャの思考でぼんやりと考えて、僕は足を止めた。


「あぁ、」


貴方に嫌われたら
僕はこの世に未練なんかかない。

いや、未練というかむしろ、僕自身の存在意義がなくなるのだ。


「そんな世界に興味はないよ」



僕は1人微笑みを浮かべ
体を重力に任せて目を瞑った。
それに合わせて僕の感覚は傾き、足が地面から離れ、空気を切る音が心地よく耳に響いた。



「さよなら、瑞希」


今回の僕じゃあ君を幸せには出来なかったよ。

ごめんね。



今度はいつ、僕は僕として生まれてくるのだろう

その時は−・・、


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