小説

□愛さえ在れば
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「なぁ瑞希、男の時に抱かれるのと女の子の時に抱かれるのってどっちが気持ちいいんだ?」


昼休み。
緋勇龍麻が突然口を開いた。
京一が思わず飲んでいたコーヒー牛乳を盛大に吹き出した。
まるで噴水のようである

「え・・?」


話題を投げかけられた瑞希。
突然のコトで一瞬頭上にクエスチョンマークを浮かべたが、すぐに事態を把握してぽん、と手をうった。


ちなみに醍醐は現在日直の仕事で不在だ。


「もうそこまで進んでんのか?!」


俺の瑞希が!悲痛な叫び声を上げながら転げ回っている。

龍麻はそんな非常に鬱陶しい相棒を無視して
真剣な目で瑞希を見つめた。


「え?えーと・・
うー、あのねぇ、どう言えばいいか分かんないけど・・

気持ちよさとしては別だから、優劣はつけられないよ・・?」


そして一片の恥じらいもなしに瑞希は答えた。



「へぇ、そうなのか」


と、そこでダメージから復活した京一が意外そうに相槌をうった。

龍麻も興味深げに何か納得している。


「男の時はなんだろう・・気持ちいいって言うか
性的な気持ちよさではないよね、ね、ひーさん」

「そうだなぁ」

「え、お前って下に回ったことあんの?!」

「ちょっとな」


京一がまるで奇跡でも起きたような顔で龍麻を見つめる。
自他共に認める総攻め龍麻のまさかの新事実である。


「それじゃあ、女の子の時は?」

だがそんな話題は置いといて、とばかりに龍麻が話を元に戻した。


「うー、これまた形容しにくいんだけど・・

なんて言うの?
電撃が走るとか体がふわって浮くみたいな?」


「よく分からん」


「全然違うけどこう言うしかないんだよー」


瑞希は表現しようと一生懸命手を動かしている。が、何も伝わってこないのは仕方ないだろう。


「やっぱ女の子にしか分かんないかな?」

「かもな、」


少しの落胆とため息。
一旦話は終わりを迎えたかに見えた。


「そういえば僕、攻めの方になったことないけど

男の子の時と女の子時って攻めの方はどっちが気持ちいいのかな?」


ねぇひーさん、と瑞希は龍麻に顔を向けたが期待の人物は意外にあっさりと首を傾げた。

京一にいたっては完全に論外なので瑞希は聞きもしない。


「それなら・・、大将に聞いたほうが早くねぇか?」

と、珍しく的確な京一の助言。
瑞希の目が希望にキラリと光った。






「おーい皆、遅くなってすまない、やっと仕事が終わって・・っ?!」

「醍醐っ・・!」


そこに都合よく現れた醍醐に瑞希が勢いよく飛びついた。
一瞬想定外の力にふらついた巨体たが、すぐに安定し小さな瑞希を優しく抱き留めた。


「醍醐、あのね、あのね」
「どうした?」







「醍醐は僕が女の子時と男の時どっちが気持ちいい?!」


「なっ・・?!」



真剣な瑞希の瞳。
醍醐の頬が赤く蒸気した

「どうしたんだっ?!」

「ねぇどっち?気持ちいい方教えてくれたら僕、頑張るよ?!」

「何をだ?!」




なんかそんな感じで過ぎていく真神学園のお昼休み。


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