小説
□たまにはこんな雰囲気も
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瑞希、とくすぐったくなる様な心地良い声。
名前を呼ばれた少年は溢れんばかりの笑顔をその人物に向ける。
「紅葉、夕ご飯は何がいい?」
手にした野菜をカゴに入れ、そう微笑んだ。
紅葉(くれは)こと壬生紅葉はそんな瑞希に珍しく頬を緩ませる。
「魚がいいかな」
「うん」
たた、と軽やかに鮮魚コーナーに走り出すその後ろ姿を愛しい、なんて思ってしまうの仕方ない
なんて壬生は1人納得してその後を追いかけた。
「・・・瑞希?」
そんな2人の姿を目撃してしまったのは
「あれぇ?醍醐だ」
瑞希がそう言った様に
偶々居合わせてしまった醍醐であった。
少しの不安と背徳感に心臓を忙しく鳴らしながら恋人である瑞希に疑問の視線を向けた、が
瑞希はキョトンとした表情で醍醐を見つめているのできっとその真意は汲めていないのだろう。
「・・っ、」
まるでさっきの風景は
新婚夫婦みたいではないか−、と醍醐が思考を巡らした所で瑞希の後ろから見かねた壬生が声を挙げた。
「醍醐あまり深読みをするな、俺たちはそんな仲ではない安心しろ」
そもそも瑞希にそんな甲斐性はないぞ、と
「あ、醍醐もご飯食べにくる?僕ね、アパートに引っ越したの!」
流石瑞希だ。
空気は読むものでなく壊すもの!
醍醐は小さく胸を撫で下ろすと微笑んだ。
「紅葉がね、引っ越し手伝ってくれたんだー」
「醍醐、龍麻たちも呼んでくれないか、お祝いするからな」
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あわや修羅場の大惨事!ww
壬生と瑞希は家族愛!
壬生は瑞希の事を妹とか弟みたいに思ってます。