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 部屋に運ばれた名無しさんは、額に置かれた冷たい感覚に気付き、目が覚めた。



「ん……此処…は?」

「気がついた?此処、僕の部屋だよ。」


 寝台の傍の椅子に座り、看病をしていた馬岱が声を掛ける。


 馬岱の姿に慌てて起き上がろうとする名無しさんを、濡れた布を片手に止めた。


 優しく肩を持ち、再び横に寝かせる。


 先程まで額にあった布を退けると、手にしていた布で、優しく名無しさんの顔と首を拭く。



 ふと名無しさんが身体の違和感に気付く。


「あ…あの…晒が…。」

「うん、寝苦しいと思ってとったよ。」


 水差しの隣にきちんと折り畳まれた晒を見つけ、顔を赤らめる。


「…別に変な事してないし、見てないよ。」


馬岱殿に限って手をだしていないなんて事あるの!?
それに更級取ったって事は、古傷……見られた!?


「服脱がした訳じゃないしさ。僕、気を失ってた人にまで手を出したりしないよ。ね、落ち着いて?」


名無しさんってば、赤くなったり青くなったり…。全部顔に出てるけど……黙っとこ。


「あ…あの……」
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