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先を行く馬超と馬岱。取り敢えず竹簡置いて着替える、と自室へ向かう馬超に付いて、馬岱も部屋に入る。
「従兄上…その顔結構好きだけど、顔も洗った方がいいと思うよ?」
「言われなくとも洗うわっっ!…ん?その顔…?お前、さっきも俺の顔見て笑ってたな。何か付いてるのか?」
「付いてるって言うか…。」
鏡を覗き込んだ馬超が目を見開く。
「アイツか!?それとも趙雲殿…否、それは無い。やっぱりアイツか!?」
「竹簡処理させられた憂さ晴らしじゃない?普通この量を一晩でさせないし、僕でも出来ないよ。」
先程から全ての竹簡を開き、名無しさんが処理した事を確認していた馬岱は、溜め息混じりに差し出す。
「とても綺麗な字だね。到底従兄上の字とは思えないけど…」
「ハッどうせ城でゴロゴロしてただけの姫が其処迄綺麗な字等……」
「字等……?」
丁寧に書かれた文字は列を作り、美しく竹簡に並んでいる。馬岱ですらこなせないと言った量をやり遂げ、尚且つ綺麗な文字には驚きを隠せない。
「…綺麗だな。」
「ね。」
「まぁ、やる事はやったんだ。諸葛亮殿にこれ以上増やされる事は無いだろう!」
「……やったのは名無しさんだけどね。早く顔洗ってきてよ。」
「お…おぅ……。」
***
先に食堂に着いた名無しさんと趙雲は馬超達の姿を探す。
「いませんね。」
「多分着替えてるんだと思いますが…。」
「否、顔洗う方が先じゃないですか?」
2人揃って馬超の顔を思いだして笑い合う。
席に向かい、ふと気が付いた。普段は4人で食べる為、趙雲の隣に座るが今は2人。向かい合って座れば、どちらが隣に座るのか…。
「名無しさん殿…?座らないのですか?」
「あ…いえ……。やっぱり趙雲様の隣が良いです。」
一度は向かいの席に座りかけたが、趙雲の隣に移る。
「…え?」
「此処の方が落ち着きます。では、いただきます。」
名無しさん殿…。もし同じ台詞を馬岱殿に言おうものなら、今度は未遂では済まなくなると思います…。
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