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「お待たせー!」
「お二人共…遅かったですね。」
「先に諸葛亮殿の処へ竹簡を届けに行っていた。」
「あぁ、名無しさん殿が処理された竹簡を、ですね。」
「う……まぁ…その…。」
口篭る馬超を差し置いて馬岱が名無しさんの向かいに腰を下ろした。
「昨日あれだけ処理してたんなら、寝てないんじゃないの?体、大丈夫?」
「馬岱殿、心配には及びません。私、夕刻から長い事眠っていましたから大丈夫です。」
半分気を失ってたんだけどね…。
「無理はしないでね。」
「私からもお願いです、余り無茶はなさらぬ様…」
「はい、承知しました。……あの、やっぱり鍛練場に顔を出したりとか…」
「駄目だよ。」
「駄目ですね。」
「駄目だろ。」
食事に夢中だった馬超までもが、3人揃って間髪入れずに言い切った。
「ですよねぇ。」
やっぱり駄目か、と溜め息を漏らした頃、食堂の入口から諸葛亮が顔を覗かせた。4人を見つけるなり笑顔で近寄る。
「お早う御座います名無しさん殿、新しい書物が手に入ったのですが、ご覧になりますか?」
「お早う御座います諸葛亮様。新しい書物ですか?」
「えぇ、興味お有りでしょう?」
「はい、とても!」
鍛練場にも行けないし、時間が余る…。
「では食事が終われば私の執務室迄いらして下さい。用意してお待ちしています。」
「有難う御座います。」
「それと馬超殿。」
「…え、俺?」
慌てて諸葛亮に向き直ると視線に凍り付いた。目が笑っていない。
「貴方は別件で用が有ります。食事が終われば直ぐにいらして下さいね。」
「な……」
「私は時間をずらした方が宜しいでしょうか?」
困った様子で諸葛亮に訊ねる名無しさんには、優しく微笑んで答える。
「いえ、一緒に来て頂いて構いませんよ。寧ろ馬超殿が逃げない様に連れて来て下さい。」
「そうですか、分かりました。では後程伺います。」
お互いペコリと一礼すると、諸葛亮はその場を後にした。
「従兄上、絶対怒られるよ。」
「い…言われた事をやったまでだ。」
「だからあれは名無しさん殿が処理したから、馬超殿がやった訳では…」
「まぁまぁ、あれ位の物なら私は全然…」
仲介に入った名無しさんだが、驚いた表情をした3人の視線とぶつかった。