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城に戻ると諸葛亮への報告が待っている。当然馬超が受けた命だから馬超が行くのが妥当だが、馬岱が自ら役をかって出た。
「僕、他にも諸葛亮様に用事があるから、適当に誤魔化しておくよ。誤魔化すのは、従兄上より上手いからね。」
「本当か!ならば岱、任せたぞ!」
「多分報告書も必要無いよ。夕食迄には部屋に戻ってるから。」
そう言うと一瞬チラリと名無しさんを見たが、特に顔色を変える訳でもなく、馬岱はさっさと1人で行ってしまった。
「……普段はふざけてる処ばかり見てる所為か、しっかりしてる処を見ると不思議ですね。」
「流石は俺の従弟、って感じだろ?」
「うわぁ……はい、そうですね。」
「お前…何だ、その顔は!」
もの凄く不服そうに歪んだ顔を見せた名無しさんの額を、馬超は思いっきり指で弾く。
「い…痛っ……」
「ばっ馬超殿!名無しさん殿が痛がってます!止めて下さいっ!!」
「まだまだ大丈夫だろ、なぁ?」
趙雲の制止を聞かずに調子に乗って弾き続けた所為で名無しさんに肘打ちを腹に入れられた。その場にしゃがみ込んだ馬超に涼しい顔を見せる。
「大人しくないですよ、私は。」
「ハッ…言ってろ。」
立ち上がって数回腹を擦ると、名無しさんの頭を撫で回した。
「ちょ…何す」
「まだ時間あるし、鍛練場……付き合うだろ?」
「いいんですか!?」
「あれだけ暴れてピンピンしてるんだ。大丈夫だろ。ほら、行くぞ。」
趙雲にも視線を送り、顎で先を差す。名無しさんが目を輝かせていて、止める事は出来ないと判断した趙雲は、片眉を下げて小さく微笑んだ。
「名無しさん殿、あまり無理はなさらぬ様にお願いしますね?」
「はい!」
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