REBORN!
□まずは名前から
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「あ…」
突然ですが私には、好きな人が居ます。
それは、毎日学校の帰り道に会う、野球部の彼。
好きになったきっかけは、彼が迷子の子どもたちを優しく宥めてたから。
いや…宥めてた、だけじゃなくてその後子ども達に見せた笑顔が、凄くかっこよくて…それ以来ずっと片思い中。
違う学校だから、話すきっかけも勇気も無いからこうして毎日すれ違うだけだけど…私は堪らなく幸せ。
この瞬間の為だけに生きてるって言っても過言じゃない位。
友達と喋ってる時に、にかりと心底楽しそうな笑顔や、野球のユニフォーム姿を見れるだけで十分だもん。
そしてまた、彼がいつものように、向こうから歩いて来た。
もう12月でやっぱり寒いのか、彼によく似合う青いマフラーを巻いている。
かっこいいな…。
またいつものように彼が私の横を通り過ぎた。
ほんと、かれこれ1ヶ月位経ってるのに、この瞬間だけは慣れない。
まだ心臓がバクバク鳴ってる…。
私はふと、彼が通った後の道路に目をやった。
するとそこには、小さなお守りが落ちてあった。
これ…きっとあの人が落としたんだよね…?
これは神様がくれた、話し掛けるチャンスかもしれない(だってお守りだし!!)
そう思い急いで拾い上げ、通り過ぎていった彼を追いかけた。
「あ、あのっ」
すぐに追い付き、ずっと片思い中の彼に話しかけた。
…って私ったら何声掛けてるの!?
ど、どうしよう…っ。
「ん?なんか俺に用か?…ってそのお守り…」
「あっ、こ、これ、さっき落としてましたよ!」
そう言ってお守りを渡す。
うわぁ、近くで見ると背も高いしやっぱりかっこいいなぁっ。
「まじで?拾ってくれてサンキューな!」
お守りを渡すと、にこにこと笑ってお礼を言ってくれた。
普段友達にしか向けない笑みが、今私に向いてる事に気が付いて赤面する。
「うっかりしてた…って言いてーけど、ごめん。これ落としたのわざとなんだ。どうにか話し掛けに来てくれねーかなって思ったら、ちょうど手にこれ持ってたからさ」
そう言って、さっき私が渡したお守りを見せた。
「そ、それはどーゆう意味…」
「初対面でこんな事言うのもなんだけど…、俺お前の事が好き。完全に一目惚れってヤツ」
「え?」
「迷惑かもしんねーけどよ、一目見た瞬間好きになっちまったんだ。
とりあえず俺の本心を伝えてーなって思ったから、言ったけど…ほんとに、迷惑だったか…?」
「め、迷惑なんかじゃないよっ!私も、貴方に一目惚れしてるもん!!」
「え…?」
今度は、彼の方が目を丸くした。
迷惑だなんて思ってないって言おうとしたら、つい好きだと言っちゃった…。
まだ夢かもしんないのに!!
だってこんな幸せな世界、絶対夢でしょう?
「それ…本当か?ははっ、じゃあ、二人ともずっと両思いだったって事かよ!」
そしたらもっと早く言えばよかったのな!と笑う。
えっと…これマジで現実ですか??
…マジですか。
「じゃあさ、両思いって分かった記念に、まずは名前教えてくれよ。俺、山本武っつーんだ、よろしくな!!」
でも俺、いまだに両思いだったって信じられねーや!と笑う彼…山本武に、私も、と笑い自分の名前を告げた。
まずは名前から
(今月のクリスマス、早速デートしようぜ!!)
(う、うん!!)
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