□音のない森
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■音のない森1■

そう、
例えてみたらココは
森なのかも
しれない…‥

泣き叫び
助けを求めても
誰も気付きもしない

光もあたらなく
音も無く、
ただ無情に時間だけが過ぎて行く…

深く冷たい樹海


「…ぅん」
開いた瞳に
最初に写ったのは

赤より紅い月の色


窓から
肌寒い風が吹く

月の明かりに
照らされて
真っ赤な桜が
真っ白な部屋中に舞った

何だか見覚えの有る光景に都筑は恐怖を覚える…‥


「都筑さん…気付きましたか…」

現れたのは白い男

「…邑輝…」

!?
起き上がろうとして自分が肌寒い理由は
自分の服が着物に変わっていたせいと気付く
「む…邑輝??」

「やっと蝶を
捕まえましたよ…‥」

薄暗い中
邑輝が都筑へと
足を運んだ…‥


「今日は貴方を
確実に私の物にするため
ここに
お招きしたんですよ…」

なんともハッキリしない言い回しに
都筑が苛立った感じで言葉を発する

「話なら聞いてやるっ趣味の悪い冗談はよせ」

「フフ…
今日の貴方は口が悪いですね…
最中だとあんなに素直なのに…‥」

邑輝は都筑の頬を軽く舐める

都筑は軽くよそを向いた


「…貴方は今日
確実に私の物になってもらいますよ」

都筑は邑輝を睨む

「何をするつもりだ…」

軽く笑って
邑輝は立ち上がる

「もうね、
飽きちゃったんです…あの坊やを虐めるの。‥知っているでしょう?
私は貴方を動かすために
あの坊やを利用していただけ、本命は貴方なのですよ。」

あの坊やの
自意識過剰にもウンザリでしてね

と軽く付け加えた
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