白山のくだらない学パロ小説 ―長編―
□1.Lost memory
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夕闇に包まれた魂の故郷――――尸魂界。その中央に位置する瀞霊廷と呼ばれる区域のとある場所。
白壁が目立つ建物の中、一人の少年が机に頬杖をつき目の前の白い紙束を見ていた。
「『八月某日子の刻、旅禍と思われる反応を確認。数は五―――』…………何だよこれ。」
頬杖を解いてボリボリと頭を掻き再び紙束へ視線を落とした少年――日番谷冬獅郎は、深い溜め息をついた。
事の始まりは、彼の副隊長である松本乱菊からこの紙束を渡されたことだった。
『たいちょお〜〜!!ちょっと聞きたいことが……。』
『断る。』
『そんなに間髪入れず即答しないで下さい!!』
『…………………断る。』
『間空けたら良いって訳じゃありませんてば!!!!手短に済ませますから。』
『何だ。』
『一護が旅禍として尸魂界に来たとき、人数何人でした?』
『人間一人猫一匹だ。』
『ですよねぇ。ところがどっこい!!当時の十番隊の報告書には人間が四人、猫が一匹と書いてあるんです!!』
『何かの間違いじゃねーのか。』
『ちゃんと確認しました!疑り深いですよ隊長ぉ〜。』
『…………ちょっと貸せ。』
「(俺の記憶では侵入して来た旅禍は黒崎一護と変化した四楓院夜一の二人だけだったはず………。ならばこの報告書は何だ?)」
乱菊は確認したと言っていたものの、言い方は悪いが彼女を信じて余りロクな事が無かった冬獅郎は再度確認した。しかし乱菊の言った事は本当だったようだ。
「松本。」
「はい?」
「俺は現世に戻る。少し…………確認したいことがある。」
「了解ですっ!!」
妙に笑顔な乱菊に少し引きながらも、冬獅郎は部屋を出てある場所を目指した。
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