novel

□The Star Festival
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それからというものの、七夕当日が来るのが楽しみで楽しみで堪らなかった。


しかし、昨日、私はつらい現実を見ることになる。

日渡君が倒れたとの連絡があったのだ。




瞬く星たちが見守る中、彼が運ばれたという病院まで走った。
家から病院まで走っている間、自分の心臓の鼓動で体が刻まれそうだった。





看護師さんに言われた病室に入ると、
聞こえてくるのは規則的な機械音だけ。

自分の心臓の鼓動とは違うその機械音は
私の不安な気持ちを駆り立てる。


ベッドに近づくと、
そこにはまるで普通に眠っているかのような彼。

普通と違うのは、その不規則な機械音と、彼の体から伸びる点滴のチューブのみ。


本当にまるでただ眠っているかのようで。



「日渡君・・・」


ベッドのそばにある椅子に座り彼の手をそっと握る。
その手は自分が知ってる彼の手よりもはるかに冷たかった。



余命が少ないことは分かっていた。
でも、それでも日渡君は


いつも私に優しく微笑んでくれている。私を愛してくれている。




けど


今、月明かりに照らされて
眠る彼を見ていると

涙が溢れてきた。



命の灯が消える時が
そう遠くはないと
心のどこかで気づいてしまったから。


幸せな時間が永遠に続かないと
気づいてしまったから。





今私に出来ることは

日渡君を信じることしかない。


きっと明日には目を覚まして
一緒に星空を見てくれる。

きっと私の約束覚えてくれてるよね・・・?














いつしか夜は更け
気付いた時はもう朝だった

ずっと握ったままの彼の手は
少し温もりを帯びていた。

私は、後ろ髪を引かれる想いで、病室を離れ、いつもの通学路へと向かった。
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