novel
□なまえ
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ねぇ
呼んで私のなまえ
その凛としたあなたの声で
一度でいいから呼んで欲しいの…
私のなまえ…
「原田」
いつもあなたはそうやって私のことを呼ぶ
私たちは付き合ってるかそうじゃないかよく分からない関係
だから私もあなたのことを
「日渡君」
って呼ぶ
ずっと前からそれは変わらない
変わったことといえば、こうやって学校から一緒に帰ったりするようになったこと
そして私の気持ち
「あのね、日渡君…」
「…原田?」
ずっと前から思ってた
ずっと前から欲してた
「…「原田」じゃやだ…
それじゃあたしか梨紅か分からないじゃん…」
あなたの声を私にだけ向けて欲しくて
あなたの気持ちをただ私だけに向けて欲しくて
ねぇ…
呼んで私のなまえ
大好きな大好きなあなたの声で
呼んで欲しい
私のなまえ…
―…梨紗―
→あとがき