novel

□The Star Festival
2ページ/5ページ

―ずっと、日渡君のそばに居られますように―





The Star Festival




「じゃあ今日はこれでおしまいです。皆さん気をつけて帰って下さいね。」


担任の先生の話が終わるやいなや、教室は生徒たちの明るい声で埋め尽くされる。


「梨紗〜。今日この後この前梨紗が食べたいって言ってたアイスクリーム食べに行かない?」

あ、今日梨紅部活動休みだって言ってたな・・・。

でも、今日は大切な日だから、

どうしてもあの人のそばにいたいの。



「ごめん梨紅・・・あのね・・・」
「いってらっしゃい。」
「え・・・?」

「今日は七夕だもんね。日渡君のところに行くんでしょ?」
「う、うん・・・。」

さすが双子の姉。小さいころからこの人だけには隠し事なんて出来ない。


「いいよ。きっと日渡君も待ってるよ。お母さんには私から言っておくから。」
「ありがとう・・・。」


梨紅は優しい笑顔で、私を見送ってくれた。













―七夕の日は一緒に星を見ようね。―


それは、私と日渡君が少し前に交わした約束。
好きな人と一緒に七夕の日の夜空を見て
織姫様と彦星様の想いに胸馳せるのが
私の夢だった。

その夢を語ると、彼はメルヘンな私の理想に少し驚いたようだが、すぐに優しく笑って

「じゃあ、約束・・・」

そう言って、小指を差し出した。

私は躊躇うことなく、彼の小指に自分のそれを絡ませた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ