novel
□The Star Festival
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―ずっと、日渡君のそばに居られますように―
The Star Festival
「じゃあ今日はこれでおしまいです。皆さん気をつけて帰って下さいね。」
担任の先生の話が終わるやいなや、教室は生徒たちの明るい声で埋め尽くされる。
「梨紗〜。今日この後この前梨紗が食べたいって言ってたアイスクリーム食べに行かない?」
あ、今日梨紅部活動休みだって言ってたな・・・。
でも、今日は大切な日だから、
どうしてもあの人のそばにいたいの。
「ごめん梨紅・・・あのね・・・」
「いってらっしゃい。」
「え・・・?」
「今日は七夕だもんね。日渡君のところに行くんでしょ?」
「う、うん・・・。」
さすが双子の姉。小さいころからこの人だけには隠し事なんて出来ない。
「いいよ。きっと日渡君も待ってるよ。お母さんには私から言っておくから。」
「ありがとう・・・。」
梨紅は優しい笑顔で、私を見送ってくれた。
―七夕の日は一緒に星を見ようね。―
それは、私と日渡君が少し前に交わした約束。
好きな人と一緒に七夕の日の夜空を見て
織姫様と彦星様の想いに胸馳せるのが
私の夢だった。
その夢を語ると、彼はメルヘンな私の理想に少し驚いたようだが、すぐに優しく笑って
「じゃあ、約束・・・」
そう言って、小指を差し出した。
私は躊躇うことなく、彼の小指に自分のそれを絡ませた。