novel
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拍手小説ー第一弾
「日渡君」
「…」
「日渡君!!」
「…」
「日渡君ってば!!」
「…ああ、すまない。考えごとしてて…」
デートの途中で立ち寄ったメルヘン調のカフェ
小さなピンクの薔薇が散りばめられたティーカップの持ち手を弄りながら梨紗は明らかに不機嫌な表情を浮かべている
「もう!久しぶりのデートだっていうのに、さっきから難しそうな顔ばっかりして」
「すまない…」
素直に謝る怜に
梨紗は頬を膨らませる
「一緒に居るときくらい楽しそうな顔してくれたっていいじゃない!!」
「…そうだな」
「私と一緒にいるのに何考えてたの?」
「…それは…」
梨紗の言葉に弾かれるように怜は視線を斜め下に落とし、困ったような表情になった
そんな彼を見て梨紗はすごい剣幕で身を乗り出して来た
「私には言えないことなの?ひどい…私は…っ!!」
批難を浴びせる唇に
突然伝わる熱を帯びた柔らかい感触
そっと触れた唇を離すと
周りのカップル達の好奇の視線を余所に
怜は余裕のある笑みを浮かべていた
「君のことばっかり考えてたしまって…あまりにも可愛いすぎるから」
こんな美男子にこんな歯の浮くセリフを言われてしまって平常心を保てる人なんていない
梨紗とて例外でなく、
さっきまでの怒りの表情からみるみるうちに頬が薄紅色に色づいていく
「…っ!!もう!日渡君の意地悪ー!!」
その日1日梨紗は拗ねたままでしたとさ
END.