さん
□失墜
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【失墜】
白銀の其れが
ハラハラとその姿を
無くしてしまい
残ったのは夥しい
見事なまでの綺麗な
鮮血のみでした
卑しいのは
己の性でしかなく
何度だって
白を赤く染めた所で
痛い 痛い と
鳴く事すら許されず
千切れた血肉を
食い荒らしてしまう
血で赤黒く染まった
その羽根では
再び空に戻る事など
出来やしなかったのに
羽根が今ではもう
空に帰りたいと
天に還りたいと
静かに鳴いた所で
今では、もう
今では、もう
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夥(おびただ)しい
天(そら)
と読んで下さい
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