さん

□幸福論
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【幸福論】

目を閉じて
お互いの手の平を
重ね合わせて感じた
柔らかい体温
「温かいね」
そう言って確かに
貴女と二人で
笑い合ったのに

白い花が散る
二人が出会った
あの綺麗な並木道は
もう在りもしなくて
君が存在した両腕は
未だに諦める事を
知ることは無い

空白を知り
孤独を感じ
痛みを理解し
そして完全な
喪失を覚えた

忘れられぬは
甘い記憶だけで
綺麗なモノは
何一つ残りはしない
僕はやっと理解した
あの日の幼すぎた
君への想い

白い花が散る頃
僕はまた出会う

真っ白だった僕ら
繋がらなかった僕ら
今度こそは
離さないように
きつく きつく
二人で手を繋いで
白い並木道を並んで
歩いて行こう

ゆっくり ゆっくり



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