☆夢の入口☆

□何気なランデブー
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明と一ヵ月会っていない。

寂しいなんて言ったら明のお荷物になってしまうってことも解かっている。
明は優しいからきっと無理してでも私に会いに来てくれるだろう。
だからそんなことは言えない。


彼は有名なバンドマンなので休みは殆ど無いし、私も仕事が忙しく、此処最近は寝る為だけに家に帰ってきているような日々で、すれ違いにすれ違い、気が付いたら一ヵ月が経っていた。





「明、、会いたいよ・・・」





私の呟きは白い息となって真冬の夜空に虚しく消えていく。
彼は今頃楽しくライブをしているだろう。





「人気者め・・・」





皮肉な嘆きも彼には届かず、風に呑まれていった。


何気なくバックから携帯電話を取り出すと、着信を知らせるランプがチカチカと点滅していた。

相手は今一番会いたい人物、明からだ。

私はすぐにかけ直そうとしたけれど、今電話しても繋がるわけが無いよね・・・


私は意を決し、その場で勢い良く携帯電話を閉じて明がいるライブ会場へ向かうことにしたのだった。










着いてみると、すでにライブは終わっていて、沢山のファンの子達が会場の外にいるのが見えた。

・・・それと同時に鳴り響く着信音。





「もしもし?」

「お、 出た出た!!あーたもう仕事は終わったの?」





少しテンションが高い明の声。

ずっと聞きたかった明の声だ・・・





「もしもーし?」

「うん終わったよ。そっちはライブどうだった?」

「おう、バンギャ共をギャフンと言わせたぜ!」

「もう調子に乗らないのっ!」

「わははは!・・・ん?何かそっちやけにうるさいな。なまえはまだ外にいるのか?」

「そうねぇ・・・今まさしくあなたのコスプレしているような子達の近くにいるわ」


「・・・ばっ!!!あーた何やってんだよ!?ちょ、ちょっと待ってなさいよ?着替えたらすぐ行くから! あー、此処じゃ不味いからもう少し離れた場所にいなさいよ!?」





そう言い残して電話が切れた。

あの慌てっぷり、明ってばお母さんみたい。
自然と笑みが零れてしまう。

でもさすがに明をこの場所に呼ぶわけにはいかないので(なんせファンの子達はまだ沢山いるわけだし)急いで明の家の近くまで戻り、適当にお店に入った。

明に場所だけをメールし、本を読みながら待っていたのだが、仕事の疲れもあってか急激な眠気に襲われ・・・目を閉じた。





「なまえ?」

「んんっ、、、」

「こんなところで寝たら風邪引くぞって、おい、何で泣いてるんだよ?」





頭をポンッと叩かれた。
夢なのか現実なのか、でも目を開けると目の前にいる人は私が大好きな明で・・・

気が付いたら涙が零れて、自分でもどうしたらいいのか分からない。

だってずっと会いたかったんだもん。ただそれだけなの・・・





「あきらっ、、会いたかった・・・」





明は更に私の頭をポンポンと叩くと隣の椅子に腰を下ろし、そのまま私の身体を抱き寄せた。





「そんな可愛いこと言うなよ、、」

「へへっ、ごめん」

「俺も一ヵ月なまえに会えなくて寂しかった。明日はオフなんでずっと俺の隣にいなさいよ?」


「ふふっ、やっぱり明はお母さんみたい。」

「なんだそりゃ?」





お互いくすくす笑い出す。

そして他の人に見られないように、そっと唇を重ねた。


明の煙草の味、もっと欲しい・・・




















何気なランデブー










(あーた、会いたいなら会いたいって素直に言いなさいよ!)

(だって明のお荷物になりたくなかったんだもん・・・)

(じゃあ今日からこのまま俺んちにいなさい!)

(お、お母さん・・・)










END

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