居眠り王子と夏の駆け引き
□居眠り王子と夏の駆け引き
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純平を好きだと意識し始めたのは、中学二年生の時。
それまで私よりチビ助だった純平が、グングンと身長が伸びて急に大人っぽくなってからだった。
ずっと、チビってからかっていたのに……。
急にからかえなくなって、そうしたら純平と話す機会が次第に薄れていった。
それまでは純平が隣にいることを当たり前のことと思っていたし、どちらかといえば一緒にいすぎてうんざりしてくらいだったのに……。
どうしてか、気になりだした。
気がつけば、純平を目が追いかけていた。
恋って突然やってくるもので、ちょっと風邪と似てるなんて思う。
純平を見ると熱くなって、動悸が激しくなって……。
とても厄介だ。
告白なんてできない。
ずっと一緒にいて、私は純平をからかってばかりいて、きっと女の子としてなんてみてないと思うから。
高校生になって、純平はさらに身長が伸びて大人っぽくなった。
体格だって、今ではあたしと全く違う。
投げ出されている陽に焼けた逞しい純平の腕と、自分の腕を並べて比べたら明らかだ。
手だって…あたしより遥かに大きい。
この腕に抱きしめてほしい……。
この手に指を絡めてみたい……。
そして、この唇に…
キスしてほしい……。
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