銀魂
□七夕
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七月七日、七夕。
「何アルか?この紙」
「これね、短冊っていうんだ」
「たんざく?」
「そう。これに願い事を書いて笹に吊すと願いが叶うっていわれてるんだよ」
「へー。なんで叶うアルか?」
「あ?あーなんでもよぉ、ずーっと昔に織り姫と彦星って働きもんだったやつらがお互い好きあって結婚したんだが、一緒になった途端に仕事怠けるようになって…それに怒った織り姫の…親父?が二人を引き離して一年に一度しか会えなくしたとかなんとか…ん?なんでそれで願い叶うんだ?」
「そこまでは知りませんけど…七夕の決まり事みたいなもんですから、深く考える必要は無いですよ」
「まぁな」
「……」
「神楽ちゃん?」
「銀ちゃん、良かったアルな」
「あ?」
「銀ちゃんが怠け者でも、私と新八働き者だから離れなくてすんでるアル。感謝するよろし」
「……」
「いや、神楽ちゃんも銀さんと似たようなもんでしょ。それより早く短冊書かないと。お登勢さんがお店の前に笹用意してくれてるからね」
「えーと、か、い、ぞ、く、お、う、に…」
「…なりたいの?」
「何事もチャレンジ精神からアル」
「はいはい…銀さん書きました?」
「ん…まだ。後で持ってくからお前ら先行ってろ」
「そうですか?じゃ行こうか神楽ちゃん」
「おう!」
「…ふぅ」
キィ、
背もたれを軋ませて空を見上げる。
夕闇が目前に迫り輝き始めた星達は、なるほど天に流れる川のようで。
「…もうそろそろ逢えたのかねぇ」
(一年に一度の逢瀬に、他人の願い事なんざ聞いてる暇ねぇだろ?安心しろ。俺は願う必要が無くなったんだ)
「あいつらが働きもんらしくてなぁ。あんたらみたいな事にはならんらしい」
羨ましいだろうが、あんたらはあんたらで楽しんでくれや
「ぎーんさーん!お登勢さんがスイカ切ってくれましたよー!」
「おー、今行くからちゃんととっとけよー」
「銀ちゃーん!もう無いアルよー!」
「あっ神楽テメェ!」
「早く来ないのが悪いネ!」
「あーもう喧嘩しない!」
キラキラ光る恋人達の星の下
いつもと変わらぬ日常を
切に願う
終
20090707