銀魂
□手のひらサイズ
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「おー!いっぱい出来たアル!」
「神楽ちゃんがつまみ食いするから、予定の半分になったけどね」
目の前には小分けにして簡単なラッピングの施された小さなチョコが並べられていた。
「これだけあれば十分ネ。さっそくムサイ男共に配ってくるアル」
「誰にあげるの?」
「とりあえず真選組ネ。幕臣は金持ってるって銀ちゃん言ってたヨ。あ、そうだ。ん、」
「え?」
差し出されたものを受け取ろうと手を出すと、手のひらにちょこんと包みのひとつを乗せられた。
「手伝ってくれた礼ネ。勘違いすんなよメガネ」
「…はいはい。ありがと、神楽ちゃん」
「ありがたく食えよ。じゃ行ってくるアル」
「いってらっしゃい」
(ありがたくって、ほとんど僕が作ったんだけどなぁ)
クス、と乗せられたチョコを見ながら苦笑していると、この家の主があくびをしながらひょっこり顔を出した。
「くあぁッ…新八ー、なんかチョコの匂いすんだけど。まさかお前、銀さんに黙って食ってるわけじゃねーだろーな」
「何時まで寝てんですかアンタ。そんなんじゃないですよ。神楽ちゃんがバレンタインチョコ配るっていうから一緒に作ってただけです」
ほら、と手のひらの上のチョコを見せる。
「…誰にやるつもりなんだあいつ」
「そんな心配しなくていいですよ。お返し目当てに知り合いに配って回るみたいですから」
「別に心配とかじゃねーよ。で?」
「はい?」
「俺のは?」
「………………あ」
「おいおい…俺だけ仲間外れですかー?」
ひどくね?と呟きながら、キョロキョロ辺りを見回しだした。
「まだ道具片付けてねぇな。よし、今から作るぞ」
「作るってチョコをですか?材料は全部使っちゃいましたけど…」
「タラララッタラーン非常用チョコレートー」
「なんだよそのダミ声!!つーかどこに隠し持ってたんですか!!」
「気にすんな。ほれ、これで作ってくれ」
「…ったくしょーがないなぁ。じゃあ作りますけど…時間かかりますからあっち行ってていいですよ」
「いや、ここにいるよ」
「はぁ?…そこにつっ立ってるくらいならちょっと手伝って下さいよ」
「いやいや、俺はここでお前が料理している様をじっくり舐め回すように見」
「出てけ!!!」
終る