銀魂

□あの日あの時あの場所で 神楽編
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背を向けて歩きだすとまた声がかかる。
まったく、いくら私が美少女だからって。

チラリと肩越しに相手を見ると、アフロヘアーが目に入る。
その後ろにはいかにもガラの悪そうな若者が数人。
どう見ても“善い連中”ではない。


指一本でも触れられる前に自慢の傘をブッ放してやろうと身構えた。が、放たれたのは意外な言葉だった。

オレらの仲間にならねーか?



ちょうど仕事を探していた。居場所も探していた。
しかも毎日お茶漬け三食付きと言われれば断る理由は無い。

私は奴らの仕事を引き受けた。

しばらくの間だけ。




この仕事はすぐに嫌気がさした。私の能力を利用しているのがバレバレだし、なにより人を傷つける。


だから私は逃げ出した。


走って、走って。奴らに追い付かれないよう細い路地を素早く移動した。


そろそろ大丈夫か、と油断して路地を飛び出した時


ドンッ



…いきなりスクーターにはねられるなんて。今日は最悪な日だ。


だけど最良の日でもあった。
二人のおかしな人間に出会ったのだ。
一人は黒髪にメガネで冴えない顔したおせっかいな男。郷に帰りたいとこぼした私を危険を省みずターミナルまで連れて行こうとしてくれた。

もう一人は…
…コイツは訳がわからなかった。
厳しいこと言って突き放してくれやがったくせに、結局助けに来てくれた。

ホントにおかしな二人。

私の居場所になってくれそうな二人。

半ば強引に万事屋に就職したのはそのせいだ。

ここに来たおかげで、たくさん出会いがあった。
たくさん大切な物が出来た。



今度こそ、失くさないヨ




あの日あの時あの場所で


新しい私が産声をあげた。




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