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□ラブアクチュール
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「ほら、そんなに隠れないで。普通に歩けばいいんだよ」

「だ、だって…こんなカッコじゃ…」

足を動かす度にひらひらと躍る短い裾を必死に押さえながら、睦実さんの影に隠れるように歩いている。

「…なんでよりによってこんな短いスカートを…」

「ん?似合うと思ったから」

「に、似合わないですよっ」

「似合うよ〜。スッゲー可愛い」

「か、わいい、って…」

手放しに褒められて、頬が紅潮する。

「もぉっ、何でゲームで負けたからって!」

白いヒラヒラのシャツに、チェックのプリーツスカート。胸元には赤いリボンが結ばれている。
パッと見どこかの学校の制服のようだ。


「それに家の中だけって言ってたのに…」

俺しか見てないから、お願い!
そう押し切られて渋々了承したのだが、結局「このままデートしよう」と外に連れ出されてしまった。

「こんなに可愛い恋人、みんなに見せびらかしたいじゃん?」

「だ、誰も僕なんか見ませ…わぁッ!?」

ひゅうっ、と突然吹いた強めの風がスカートの裾を持ち上げる。
が、反射的に伸びた両手のおかげで、間一髪めくり上がるのは阻止できた。

「ざんね…あ、いや、危なかったね〜」

「…今、残念って…?」

「言ってない言ってない。そんな恐い目で見ないでよ」

「まったく…それより、これからどこ行くんですか?」

買い物でもなんでもいいから早く済ませて帰りたい。
誰も見てないなんて言ったけれど、やはり人の目が気になってしまう。

「うーん、特に決めてないんだけど…あ、映画は?ちょうど今から上映のやつがあるみたいだよ」

「映画…」

(映画館の中に入れば、この格好誰にも見られないかな)

「うん、いいですよ」

「んじゃ、チケット買いに行こっか」

「はぁい」

迫る上映時間に、急いで受付へ向かった。








館内が暗くなる寸前に駆け込んで席に着く。
辺りを見回すと客はまばらで、自分達の周りに人はいなかった。

「ここのシート…なんか変わってますね」

こそりと尋ねる。
自分達の席が周りと違い、真ん中に肘置きが無く、シートというよりソファーのようになっていたからだ。

「カップルシートっていうんだって。ゆったり座れてイイね」

「へぇ……え?」

ぐ、と肩を抱き寄せられた。

「む、睦実さん?」

急な密着に心臓が鳴る。

(ち、近い…っ)

「せっかくだからくっついて観ないと」

映写機の明かりに照らされながらウインクした睦実さんはすごくかっこよくて。

「〜〜〜ッッ」

引き寄せられるまま、睦実さんの肩に頭を乗せた。






映画が始まってだいぶ時間が経った。
けれど内容がほとんど頭に入ってこない。

肩に置かれていた手は徐々に移動し、腰まで下りてきた。不意に脇腹を撫でられたときは変な声を上げそうになってしまった。
しかもその指が脚の付け根辺りにあるため、妙に意識が行ってしまう。

(…全然集中できな……い…!?)

ふとスクリーンに視線を戻すと、アクションものなはずの映画の中でいつの間にかラブシーンが流れていた。

(う、うわ…)

女が男に覆いかぶさり、その豊満な身体と色気を惜しみなく利用し男を誘惑しようとしている。
どうやら敵の女スパイが主人公を陥れようとしているらしい。

思わず見入ってしまっていた。


もぞ、


「!?」

掌が移動し、ふとももを撫でた。

(え、な、なに!?)

驚いて身を強張らせていると、指先が肌の上を滑っていく。

「ふっ…ぅ」

そのもどかしい動きに思わず声が漏れてしまった。

「っ、むつみさ…ちょ、やめ…!」

抗議のため顔を上げると、唇が柔らかいもので塞がれた。

「ん…んん…っ」

口内を生暖かい舌に愛撫される。

「ふっ…はぁ…」

唇が離れ、一瞬繋がった銀糸がぷつりと切れた。

「…は……も、なに…」

「しー。あんまり大きい声出すと周りに気付かれちゃうよ?」

「ぁ…!って、睦実さんが…っ!?」

悪いんでしょ、と言おうとしたのに、言葉が詰まってしまった。

「…あ…、んぅっ」

スカート越しに自身を軽く撫でられる。

「ゃ…ぁ、だめぇっ…」

さっきの手は脇の下に滑り込み胸をまさぐっている。その反対の手がいたずらに下肢を這う。

「ゃんっ…ダメだってば…ッ」

ピリピリとしたもどかしい快感が背筋を震わせる。
極力小さな声で抗議しているのに、このままではあられもない声を上げてしまいそうだ。

「んっ……む、むつみさん」

「ん?」

愉しそうに微笑む彼の首に腕を絡める。

「こんなとこじゃやだ…。…睦実さんちがいい…」

ちら、と見上げると、睦実さんが目を真ん丸にしていた。

「どこで覚えたの、そんなおねだり」

「……今」

同じようなセリフで相手を油断させた主人公は、鮮やかな動きで手刀を叩き込み女の人の気を失わせ窮地を脱したようだ。

こっちは窮地を脱するとまではいかないけど。

「この映画、あんまり冬樹くんの教育に良くなかったかな」

「一番良くないのは睦実さんでしょ」

ひどいなぁ、と笑いながら瞼にキスを落とされた。







「んく……ふぅっ…」

生温い舌が自身を這う。
唇と舌がいやらしく絡み付くその行為に悲鳴を上げそうなほど身体が高ぶる。

「ん、んっ…!ダメ、そんなとこ、舐めちゃ…!」

「きもちよさそーだけど?」

「やぁッ…そ、そのまま、しゃべんないで…!」

触れたままの唇の微かな振動にも感じてしまう。



僕らは上映室から抜け出し、睦実さんが実体化ペンで描いたドア(『どこにでも行けちゃうドア』って名前らしい)であっという間に睦実さんの部屋に帰って来た。


「ん、ごめんごめん。で?」

気持ちいい?

「っ…は、はずかし…」

「恥ずかしい?こんなにしといて」

「ひゃぁッ」

指先でつつ、と自身をなぞられ腰が浮く。
めくれたままのスカートを直す余裕もすでになく、脚の間に顔を埋める睦実さんは震えるそれに息を吹きかけたりして反応を楽しんでいる。

「ふふふ。冬樹くんのえっち」

「…ち、ちが、そんな…ふぁっ」

またぱくりとくわえられて、舌と唇が確実な意思を持って嬲ってくる。

「やっ、んやぁ!だめ、そんなに、擦っちゃ…!」

上下する頭へ無意識に手を伸ばすが、力が入らず逆に頭を下肢に押さえるような格好になってしまった。

「だめっ、も…でちゃう…ッ」

「ん……まだダーメ。もう少し我慢して」

「やっやだ、なんでッ…ぁんっ」

もう少しで達する、というところで急に刺激を止められて狼狽えていると、濡れた指が内部に侵入してきた。

「ん、あ、ぁあ…!」

「もうこんなにトロトロなの?」

「あっ、あっ…!や…だめ、そんなにっ、しちゃ…!」

クチュクチュ音を立てながら、入口を拡げるように掻き回される。

「もう平気かな…」

「うわっ」

グイッと腕を引っ張られて上体を起こされる。

「な、なに…?」

ベッドに座る睦実さんの膝を跨ぐ格好になった。

「自分で挿れてみて」

「えぇ!?そんな、無理…」

「大丈夫。このまま腰下ろせばいいから」

お尻を掴んで、ぴと、と睦実さんの熱に押し当てられた。

「ふぁ…っ」

熱を感じた瞬間、後ろが疼いた。今すぐ欲しい、とでも言うようにヒクヒクと淫らに蠢いている。

(はずかしい、でも…)

恐る恐る腰を落とす。

「んんっ…!」

つぷりと切っ先が埋まる感覚に全身が震えた。

「んぅ…ふっ…」

じわじわと襲う熱。

(睦実さんの…あつい…っ)

少しずつ少しずつ腰を落とし、熱を飲み込む後孔に意識を集中していると、

「うーん……ダメだ」

「え…?…あッ、あ゙ぁぁ!!」

突然腰を突き上げられ、その衝撃に眩暈がした。

「あっ…あぅ…ッ…」

「くっ、はぁ……ごめん、我慢出来なかった」

「ひ、ひどいですよぉ…、いきなり……んンっ」

優しく腰を撫でられてそれにすら反応してしまう。

「はは、あんなにやらしく焦らされたら理性もたないって。…大丈夫?」

「ぅ…うん…へいき」

十分慣らされたおかげか、圧迫感はあるものの痛みは無い。

「ひぁ、あ、んッ」

軽く揺すられるだけで意識が飛びそうになる。この体勢では、自分の体重のせいでいやでも最奥に睦実さんを感じてしまう。

「やぁっ、そこ、だめ…!」

激しくなる突き上げで何度もイイ所を擦られ我慢がきかなくなる。
首にしがみついて必死に堪えていると、睦実さんが笑った気がした。

「もっ…いきたい…!むつみさ、おねが…!」

「ん…一緒に、」

「ふぁっ…ぁぁあ…ッ」

性器を激しく擦りあげられ、とっくに限界だった僕は呆気なく達してしまった。
一拍遅れて内部に注がれた熱に酔いしれながら、二人でベッドに倒れ込んだ。






「睦実さん、なんでさっき笑ってたの?」

さらさらと髪を撫でる手にまどろみながら、気になっていた事を聞いてみた。

「さっき?…ああ、あれね」

僕の髪を梳く手は止めずに、思い当たったのかまたニヤリと笑った。

「冬樹くんが自分で動いてくれてたのが可愛くてさ」

「……え…えっ!?う、うそ…」

「ホントだよー。気付いてなかった?」

「…っわ、忘れて!」

「忘れません。冬樹くんも女の子のカッコしていつもより興奮してたのかなぁ?下でよがってくれるのもいいけど、上で好きに動いてくれるのもなかなか…」

「わああああ!も、やめてくださいよ!」

「ナースとかチャイナとか、定番は揃ってるからいつでもごっ」

「やめてくださいってば!!!」

気分が良いのか軽快に動く口を、とりあえず手で押さえつけた。






20120214


早霧絢さんに捧げます!

大っっっっ変お待たせ致しました!!
遅筆でホントに申し訳ないです(ノ_<。)

お待たせした上、女装をあんまり活かせてない気がしてなりませんorz

こんなんですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです(´・ェ・`)

では、リクエストありがとうございました!

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