.

□Dearest under side
1ページ/1ページ



どさ、と優しくベッドに下ろされる。

「一日中触る」の宣言通り、あれからしばらく髪を撫でたりキスをしたり、少しも離れないようお互い抱き合っていた。
でも徐々に深くなるキスと意志を持って動き回る手に、だんだん立っている事が辛くなって。
もぞもぞと動いてみると、ひょい、と抱え上げられた。

「辛いなら移動しよっか?」





そうして今。



「んん…っ」

口付けたままゆっくり倒される。

「ふ、ぁ…!」

いつの間にか服の中に侵入していた手が脇腹を撫でる。くすぐったくて身をよじるが、弱々しい刺激はそのまま胸元へ上がって来た。手の平で軽く揉まれたかと思うと、敏感な場所を掠めた。

「ぁっ…」

指先が、優しくその部分を愛撫する。

「ひぁッ!」

ビクンッと体を揺らすと、くす、と睦実さんが笑った。

「な、なんですかっ」

「いや、可愛いなぁって思ってさ。冬樹くんココ好きだもんね」

「べつに、好きなんかじゃっ…ふぁあッ」

いきなり服を捲くり上げられ、反対側の突起に吸い付かれて予想もしない嬌声が上がる。

くにくにと押し潰したり尖らせた舌でつついたり。たいした刺激じゃないはずなのに体が反応してしょうがない。

「…っ」

恥ずかしくて口を塞ぐと、声聞きたいからダメ、とすぐ外される。

「でも…」

「いいの。可愛いから」

「か、わいいって…、…ッぁあ!」

きゅ、と摘まれて声を上げる。

「気持ちイイ?」

普段は出さないような低めの声で囁かれて、嫌でも体が反応してしまう。
コクコク頷けば、満足したようにおでこにキス。

同時に睦実さんの右手がそろそろと動き出した。

「ん、睦実さ…!?」

「ここ、窮屈じゃない?」

ぽん、

「ひゃ!!?」

「ね」

爽やかな笑顔で尋ねる睦実さんが触れているのは、とっくに張り詰めてしまっていた僕自身。

「そんな、こと…」

「ん?」

「あッ、やぁあんっ!」

ズボンの生地越しに、指の腹でクルクル円を描くように撫でられる。

「ゃ、むつみさ、もう…!」

「どうしたの?」

足りない。布越しの刺激では。

「冬樹くん、」

耳の奥で、甘い声が響く。恥ずかしいなんて思ってる余裕は無かった。

「…苦し、から…っ、早く…さわ、て…!」

「…ん、了解」

…一瞬、睦実さんの瞳がギラリと光った気がしたのは、きっと見間違いじゃない。





くちゅ、ぐち

「あっ、あっ、ぁん…!やだぁ…ッ」

耳を塞ぎたいほどの卑猥な水音と自分の声が部屋中に響く。
丁寧な愛撫に、声を抑えることも忘れて。


「んん…っむつみさん、も、だめッ…!」

「冬樹くん…、もうちょっと我慢してて、ね?」


十分にほぐされた後ろに、熱いものがひた、と押し当てられる。

「……ッ!!あ、はぁっ…!!」

ゆっくりと埋められるそれに眉をひそめると、睦実さんの不安そうな声。

「痛い…?」

「…ううん、へいき、です…から、はやく……!」

「…っ!」

「ッ!ふぁあ!あっ、ぁンっあ、ひぅ、んぁぁ…!!!」

「くっ、冬樹くん…、冬樹くんッ」

「は、ぁっ…!ぁぁああ!!!」

いきなり激しくなった律動と熱に頭が焼き切れそうになる。
蕩けた思考では何も考えられず、口からは意味の無い嬌声ばかりが溢れ出していた。










「ん…?」

「おはよ、冬樹くん」

「あれ…おはようございます、睦実さん…」

「て言っても、まだ夜中だけどね」

「え……あ!」

気を失う前の記憶がみるみる甦って、一気に顔が赤くなった。

「あ、あの…ッ」

「はは、可愛かったなぁ冬樹くん。積極的で」

「そっ…そんなこと、ないですよ!」

「…ね、冬樹くん」

「え…、んっ」

急に顔が近付いて唇をくっつけられ、啄む程度のキスを何度も繰り返す。

「ん、んぅ」

下唇を柔らかく噛まれて唇が離れた。

「は…、」

「……睦実さん、」

安心しました?

「…だいぶね」

腰を引き寄せられて、隙間が無いくらいぴたりとくっつく。

「ごめん、無理させただろ?」

「…いえ、平気です。…たぶん」

「そう?じゃあもう寝よっか。ゆっくり寝て、明日冬樹くんの体が辛くなかったらデートしよ」

「辛かったら?」

「一日中冬樹くんのお世話係になるよ。ご飯作って食べさせたり、着替えさせたりお風呂で体洗ってあげたり」

「こ、後半はいらないですよ…」

なんだかウキウキしながら話す睦実さんに苦笑しつつ、頭を目の前の胸板に擦り付ける。


「眠い?」

「ん…はい」

疲れているのか、急に瞼が重くなってきた。

「じゃあ寝よう。おやすみ、冬樹くん」

おでこに落とされた唇と睦実さんの体温にすっかり安心しきった体は、ふわふわと気持ちの良い眠りの世界へ導かれる。

「…みな、さ…」

言葉に成り切れていない挨拶を残して、僕は夢の中へ旅立つ。
意識が途切れる瞬間、睦実さんが何か呟いた気がしたけれど、聞き取ることは出来なかった。



「…冬樹くん」


(君がここにいることが、こんなにも幸せだなんて)



20090422

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ