吉原の夜桜


□華屋の交渉人
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ちゅん ちゅん
 
朝、華遥は起きると 雪が積もっていた

廊下で座りながら中庭を見ていると、裏から

「何してんの?」


と、誰かが言った


「そんなとこにいると、風邪ひくよ?」


裏を振り向くと、灰色の髪をスッと伸ばした
少し背の高い禿が立っていた

自分達の部屋ではみたことのない禿だった


「どこの、禿なの・・・?新入りさん・・?」


私は聞いてみた、


「う〜ん・・・いつもは、キミ達の部屋に

いないけど、ずっと前から この華屋にいたよ」



「え・・・」




「お・・・・あちきは、戸神よろしく」




「よろしく・・」




「花魁道中は綺麗だった?」



戸神は言った



「あ、うん」


「そっか〜キミは、いつかは花魁になりたい?」


「うん!もちろん、日本一の花魁になるためにここにきたんだから!

戸神は?」



「えぇ・・・あ、うん・・・なりたいなっ」


戸神が一瞬困ったような顔をしたのは気のせいだろうか・・

すると、裏から 桜霧の声がした


「おはよう〜華遥〜誰と喋ってるの・・・?」


「おはよう、戸神と・・」





と、言うと桜霧は驚いたように言った


「戸神!?」




「あ、おはよう」


戸神は言った

私は桜霧にいった


「どうしたの!?」


「えぇ・・!?ちょっ・・ちょと、驚いた・・

戸神、なかなか私以外の子達と喋らないか

華遥と二人で喋ってるなんて・・・」



「俺だって、誰かとは、喋ったりするよ・・たまには」


えっ・・・・戸神が『俺』って言った・・

ちょっと、聞いてみた


「あ、、あの 『俺』って・・・さっき言ったよね・・?」


「あ、」

二人は声を合わせて言った

すると桜霧が

「あ、また言った!?・・戸神の癖なのよ!!

戸神ここに売られる前、兄弟が全員男だったから
俺って女でも言ってたのよ?!」


「あ〜そういうこと〜」

私はなっとくした、私の友達もたまにそういうときがあったから
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