君との子育ての日々 2

□バブ39
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一筋の汗を垂らす古市が訊ねる。



「魔界に帰る?誰が?」


「医者だよ、医者。あのちっこいのとてきとーな奴」




ラミアとフォルカスの事である。



「ベル坊も回復して、もうやる事もねーからな。そろそろ魔界に帰るんだとよ」


「ふーん、ほんまかい」



男鹿の部屋でテレビゲームをしながら会話した後、ある事に気づいて微妙な表情で振り向く。




((ほん まかい?))








バブ39

『ほんまかい』







「「―――…さむっ」」



ちょうど部屋に入ってきたラミアが冷ややかな眼差しで、亜希が真っ青な顔で率直な感想を漏らした。



「何、今のギャグ」


「古市くん、はっきり言って笑えないわよ」



辛辣な感想を述べると、ラミアはフォルカスの後ろでキョトンとしている未希に話をふる。



「未希、今のダジャレどうよ」


「え?ダジャレって何が?」



目を丸くして聞き返されたラミアは、冷めた表情を古市に向ける。



「古市、未希わかってないみたいだからもう1回言ってあげて

あたし達、魔界に帰るんだー。ほれっ」


「うるせーよ!!とっとと帰れ!!」



ラミアに促されるが、不意打ちを食らった恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら言い返した。



「うむ、そのつもりなのだが、アランドロンがつかまらんのだ

一緒に住んでる君なら何か知っていると思ってな」


「だからってなんでオレ!?未希ちゃんも一緒に住んでるんだから、未希ちゃんに聞けばいいじゃん」


「このお嬢さんから、君の方がより詳しく知ってると聞いたのでな」


「未希ちゃんが!?」


「アランドロンさんと一緒にお風呂に入ってる古市の方がよく知ってるかなーって思って…」


「!!」



未希のさらっとした問題発言に、古市は衝撃を受ける。



「古市……」


「古市くん……」


「ダウダダ…」



男鹿と亜希とラミアはもちろん、ベル坊まで白い目で古市を見る。



「いっ、いやいや誤解だから!!あっちから勝手に来るだけだから!

未希ちゃんも勝手な事言わないで!!」


「だって……むーっ!!」



これ以上しゃべったら誤解の被害者になりかねない古市は、慌てて未希の口を塞いで続ける。



「でも、オレも知らないっスよ」


「一緒にお風呂に入ってるのに?」


「だから違うって!!」



ずるずると引きずる亜希を説得している古市の横で、フォルカスが困り果てる。



「……そうか、困ったの……」



その様子を見たラミアが声を弾かせる。



「師匠、やっぱり今日はやめにしましょーよ!!ベルゼ様ともう少しいたいし、亜希姉様や未希と恋バナしたいし…」


「ばかもんっ、魔界にも患者はわんさかいるんだぞっ!!」


「ブー」


「呼んでみればよいではないか」




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