君との子育ての日々 2

□バブ43
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鳥達が逃げていく空に届く程の巨大生物。


男鹿とラミアと姉妹はア然と、盗賊達はガク然とし、"先生"と呼ばれた男は無表情でその巨体を見つめる。


そんな中、古市はアンジェリカに訊いていた。



「ヴラドの…主……?」


「…はい」



その頃、巨大生物はゆっくりと起き上がっていった。



「身の丈が山よりも大きな魔獣です

ここの連中は魔獣を殺しすぎました。主は怒っています」




ゆっくりと口を開き、轟音を轟かせる。



「ゴア゛ア゛ア゛ア゛ァァアッッ!!」



身体が震えるほど鳴き声が轟くと、次々と街に岩が降ってきた。



―パタパタ…―


階段から近づいてきた足音が聞こえたアンジェリカは、慌てて叫ぶ。



「逃げて下さい、古市様!!頭目が帰ってきます!!」



しかし、古市は焦りもせずに涼しい表情で返す。



「逃げる?あなたを置いてどこへ逃げるというのです

……というか、これ…。もう逃げられませんから…




フッと笑いながら話す古市。



「かっこよくねーんだよ、バカ古市!!」



牢屋の外では、男鹿達が鉄格子にはさまってしまった古市を抜こうと引っ張る。



「ただ挟まって抜けねーだけだろーがっっ!!」


「逃げないとペシャンコにされるわよ!!」


「うっ…抜けなっ…」


「大丈夫大丈夫」


「これのどこが大丈夫なの!?」


「全然大丈夫じゃねーんだよ、ボケェェェェ!!」



男鹿達が渾身の力で古市を引っこ抜こうとするが、なかなか抜けない。


その様子を見ていたアンジェリカが呟く。



「……頭が抜けないのですね…」



そう呟くと、「ちょっとお待ちを」と言って近くから椅子を引っ張ってきた。



「え?」



古市が驚いてる間にアンジェリカは椅子の上に乗り、彼の前で構える。



「…あの、何を…「いきます」



嫌な予感がして汗を流す古市が訊ねようとした時、アンジェリカは手錠を額にぶつけてきた。



どうやら、その方法で頭を引っこ抜くらしい。



「まって…、これ……、いたっ…」



古市の制止の声も聞かずに、アンジェリカは手錠をぶつけ続ける。



――ハァ、ハァ――」




しばらくぶつけたが、古市の頭が抜けず、顔中痣だらけになって鼻血を出していた。



「………抜けませんわね」


アンジェリカは肩で息を吐きながら呟く。



「どうしよう…。このままじゃ、あなたがヒドイ目に…」



(この人、天然だ…

殺される……)



汗を流してげっそりとしていると、首領の叫ぶ声が響く。



「アンジェリカ!!」





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