君との子育ての日々 2

□バブ47
1ページ/5ページ





一日の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響く。


校舎内の階段下から、オレンジ色の頭をした男がひょっこりと顔を出した。



(オレの名前は、山村和也

今、オレはモーレツに緊張している)



辺りを見渡して、誰もいないのを確認すると、大股で石矢魔特設クラスに向かう。



(そう、ようやく憧れていた存在に会えるからだ)




「―――ここか…。石ヤバ高校…」



カズが『石矢魔特設クラス』と書かれている紙に触れようとした時……



「ハァーッ、やっと終わった……」



ガラッと扉の開く音がすると、寧々の声が響く。


すると、山村は素早く階段下に隠れた。



(―――あれは…)


「姐さんっ!!何してんスか!!帰りますよ」



声がした方に顔を向けると、教室から寧々や千秋、飛鳥が出てきた。



(関東最凶のレディース、烈怒帝瑠!!)



陰に隠れて、冷や汗を流しながら彼女達を見つめる。


(す…すげぇ。いきなり大物だ

ここは勇気を出して、行ってみるか!?

―――いや、まだだ。まだあの人が出てこない)


「早く出てこい」



山村がそう呟いた瞬間、すぐ後ろから、女子の声がする。



「何が?」



未希と同じ、黒髪ツインテールの少女が四つん這いで不思議そうに山村を見ていた。



カズが勢いよく振り向くと、黒髪の少女はニヘラッと笑いながら疑問符を浮かべた。



カズは声を出さずに、衝撃を受ける。



(〜〜っっ、があっ!!梓っっ!!)


「なになにー?何が出てくるのー?」



楽しそうに興味津々と訊ねてきた梓を慌てて隠れさせる。


そして、必死に口元に人差し指を押さえながら言う。



(し〜〜〜〜っっ!!)



「バカヤロウ、てめぇ何勝手についてきてんだ!!ここがどういう場所かわかってんのかっ!?」


「えーっ、知ってるよー」


「声がでかいっ!!」



必死な表情で注意すると、梓は言い返すように小声で言う。



「カズ君こそ、いけないんだよ。ここは、不良のたまり場だから、絶対近づくなって朝礼で先生が…」


「あー、もーっこっち来い!!」



そう言いながら、カズは梓の手を強引に引く。



「あっ、ちょっと〜!!

ひひっ、カズ君と手ェ繋ぐの幼稚園以来だぁ」


「いいから!!」





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ