君との子育ての日々 2

□バブ56
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三木の一撃をもろに喰らった男鹿は、お腹を押さえてその場で膝をつく。


「「男鹿っ!!」」


葵と未希は、男鹿の元に駆け寄る。



「ちょっ……返事しなさいっ!!まさか、本当にやられちゃったわけじゃ……」



慌てる葵の中のベル坊も一緒に慌てる。


しかし、男鹿の返事はない。

そこへ、三木の声がかかる。


「無粋ですよ」


その声に、葵と未希は振り返る。



「これは、彼と僕の勝負だ

あなたも武道の心得があるなら分かるでしょう?

下がっていて下さい。未希ちゃん、君も危ないから下がって」


そう言い放つ三木は、冷淡な無表情。


(さっきの構え

そして、あの一撃――

間違いない。彼の技は中国では軍隊でも用いられてる武術……)


さきほど三木が男鹿に放った一撃を、葵は冷静に思い返す。



(八極拳)



八極拳

超近接戦闘を主とした中国発祥の武術

独特の震脚動作で生み出される"勁力"を利用し、一撃の威力を極限まで追求した拳である



(一度だけ、おじいちゃんが手合わせしてるのを見た事があるのよね


…でも、なんだろう…)



目の前で静かに佇む三木から放たれる殺気。


(―――それだけじゃないような…)



葵に不安が渦巻く。






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