君との子育ての日々 2

□バブ57
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数話ぶりの登場だが、男鹿に容赦なく蹴り飛ばされ、気絶した神崎。

しーんと静まり返るほどの微妙な空気の中、夏目がおそるおそる口を開く。



「お……男鹿ちゃん…?」



すると、三木が無表情で神崎に目をやりながら言い放つ。



「…正しい判断だ。彼はもう、戦える状態ではない

教室では、脳をゆらす技を使いました…。自覚はないだろうけど、大ダメージだ

これ以上、僕が戦えば、命の保障は出来ない

そうだろ?男鹿…」



三木に問いかけられた男鹿に顔を向ける未希と葵。



(もしかして…

その為に殴り飛ばしたの?

無理矢理にでも神崎を三木と
戦わせない為に…)

「あいつなりに考えてたんだね」

「そうみたい…」



男鹿なりの気づかいと思う葵と未希だが……



「いや、全然。フツーに邪魔だった」



真顔ですっぱりと言い切った男鹿。


葵達は唖然とする。



(ああ……

だよね……)





バブ57

『最強の男が揃いました』




この、なんとも言えない微妙な空気を見ていたカズと梓と亜希。



「………」



カズが気まずそうな表情で古市に訊ねる。



「えーと…

いいんですか、古市さん?助けに来た神崎、殴り飛ばしちゃいましたけど…

―――って、あれ?

もしかして、笑ってます?」

「いや…」



屋上を指しながら訊ねたカズの視線の先には、扉に隠れて笑いをこらえる古市の姿。

その横では、梓が呟く。



「人って、すごい飛ぶんだねー」

「そうだね…ぷぷっ…」



古市だけでなく、亜希も必死に笑いをこらえていた。



「亜希さんもですか…」




――――――――




カズ達が眺める先、屋上では、三木が平然としている男鹿をにらみつける。



「頭にくるね、その物言い…

ただの天邪鬼(あまのじゃく)か、本心か…

どっちにしろ、君はそうやって仲間をつきはなす


人の信頼を簡単に踏みにじるんだ



男鹿への怒りをあらわにする三木は言い放つと、扉から(いまだに残る笑いをこらえながら)この戦いを見つめる亜希に顔を向ける。



「正直、亜希さんの気持ちが分からない」

「あ"ぁ?」

「なんで、亜希さんがこんな奴と付き合ってるのか…」



三木が亜希を見る瞳は、呆れの色が強い。



「亜希さんなら、もっといい男を落とせるのに……」



「せっかくの美少女なのにもったいない」と、ため息をついて呟く三木。



「全く、三木の言う通りだな……」



三木の言葉に激しく同意した古市がため息まじりに呟くと、隣の亜希は疑問符を浮かべた。

一方、三木と対峙して今まで黙っていた男鹿が口を開く。



「亜希の話をするな」

「もしかして……妬いてる?大丈夫だよ。僕は、どちらかというと未希ちゃんの方が好きだから」



一瞬だけ未希に視線を向けながら告げると、すぐに目の前の男鹿に向き直る。


すると、男鹿は挑発的に言い放つ。



「つべこべ言わずにかかってこいや

オレも、とっておきの必殺技をお見舞いしてやるからよ」



手をクイクイと動かし、男鹿は三木を挑発した。





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