君との子育ての日々 2
□バブ41
1ページ/5ページ
〜前回までのあらすじ〜
ベル坊の気まぐれとあれやこれやで魔界へと来てしまった、男鹿と古市と姉妹
そこには、広大な魔境とおっさん(故アランドロン)の力尽きた姿が…
絶望する四人
おっさん亡き今、四人に人間界へと帰る術はない
さらに、魔境の原住民を敵にまわし、あれ?これヤバくね?と思い始める四人
――しかし、そこに僅かな希望が……
《娘ぇ!?》
「――そうだ。今からお前達には、アランドロンの娘を捜してもらう」
ヒルダの指示を黙って聞く5人。
《案ずるな。場所はわかってる。私が案内しよう。その通信機を絶対手放すな》
男鹿達の様子を見ている坊主の男が木の実を食べながら呟く。
「人間か…。どうする?ガレ」
坊主の男の質問に対し、隣に立つガレは、無言で口の端をあげた。
バブ41
『敵が現れました』
男鹿達は、ヒルダの案内で魔界の森の木の上を歩いていた。
―ズルッ―
「うわっ!!」
「危ねっ!!」
未希の足が滑り、木から落ちそうになったが、古市に助けられた。
「未希ちゃん、大丈夫!?」
「大丈夫だけどヒヤヒヤした〜」
「危ないから、未希ちゃんはオレの手をしっかり握ってるんだよ」
「うん!」
"しっかり"という所を強調させて言ってきた古市に対し、未希はいつものように素直に返事し、キュッと古市の手を握りしめた。
(ちょっ、未希ちゃん、素直な上に純粋で子供っぽくて可愛いんだけど!)
素直に反応する未希にときめいていると、先頭のラミアが容赦ない毒を吐く。
「古市、あんまニマニマしないでくんない?
キモ過ぎるんだけど」
「別にいいじゃねーか!!オレと未希ちゃんのイチャイチャなんて、なかなかないんだからよ!!」
「古市くん、キモい上にウザいくらいうるさい。静かにできない?」
笑顔だがストレートで辛辣な事を亜希に言われ、ショックを受けた古市は黙り込んだ。
しかも、
「えっ?ちょっ…古市くん、どうしたの!?」
無自覚なのだから、タチが悪い。
(ホントにあれで無自覚かよ……)
男鹿は呆れ、ラミアは…
(亜希姉様の毒吐きは、ヒルダ姉様に負けてないわね)
感心していた。
、