君との子育ての日々 2

□バブ42
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アンジェリカから見れば鉄格子から顔を覗かせているように見えるが、実際は男鹿に肩車されているラミアの上に立っていた。



「ちょっと…、なんで私がこんな事…」


「ラミアちゃん、大丈夫?」



亜希がラミアを心配する横では、未希はアンジェリカと会話する古市を見る。



「お姉ちゃん、一段上がって」


「は?」



疑問符を浮かべながらも一段上ると、未希は亜希の肩の上によじ登って牢の中のアンジェリカに話しかける。



「はじめまして。アランドロンさんの娘さんですよね?」


「はい」


「お名前は…」


「アンジェリカです。あなたも人間なんですか?」


「そうですけど…」



未希がキョトンと返すと、アンジェリカの表情が変わる。



「古市様、未希様!!もしかして、あなた方、古市様と未希様じゃ…!!」


(古市……様………!?)


「父からいつもお話を伺っております!!」



すると、古市はアンジェリカに向かって、とびきりいい表情で言う。



「えぇ、あなたを助けにきました、古市です!」


「やっぱり!!という事は、黒髪の方が未希様ですね!!」


「はい」



素直に返事すると、アンジェリカの表情が輝く。



「か…可愛いィィ!!」


「…………え?」



この瞬間、古市はア然とし、未希は疑問符を浮かべながらも、少し戸惑う。



(え……っ!?アンジェリカさん?)


「黒い髪に映える白い肌、パッチリとした瞳、みんなから愛される素直な性格…。本当に父さんが言った通りだわ!!」




一目惚れした女性が日頃大事にしている少女にときめいて弾む姿に、古市の内心は複雑に。



「古市……?どうし…「逃げてください!!」



古市の内心を知らない未希が不思議そうにすると、突然アンジェリカが叫んだ。



「へ?」


「どうしてですか?」


「魔獣です!!魔獣が来るんです!!ものすごく大きな…」



必死に叫ぶアンジェリカに、古市と未希は目を見開く。



「「魔獣…?」」



古市と未希が呟いた次の瞬間……



――ズウゥン…―



「どわっ」


「「キャッ」」



重い音とともに地響きが鳴り、男鹿達はぐらつく。



鳥達が空へと逃げると、主はゆっくりと起き上がる。



「ここの人達は魔境を荒らし過ぎました。ヴラドの主が怒ってる…

私には声が聞こえるんです」



皆、いきなり現れた生物にガク然とする。



「……っ」


「なんだ…、あれは…っ!!」


皆が驚いてる間に、2度目の地響き。



ヤバいと思った未希は急いで飛び降りた。



「キャアア!!」


「ちょっ…、落ちる…」


「わぁああああっ」



ラミア達の悲鳴や叫び声が響く中、"ズポッ"という音がした。



「ゴア゛ア゛ア゛ァ゛ア゛ア゛!!!!」



そして、その轟く鳴き声とともに、街よりもでっかい巨大生物が姿を現した。



しかし、男鹿達は……



――ぐぐぐぐーっ――



顔が鉄格子にはまって抜けなくなってしまった古市を見て、ガク然としていた。




「あの…。助けて下さい」





→あとがき
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