君との子育ての日々 2

□バブ43
2ページ/4ページ





アンジェリカが振り向くと、首領が慌てて鍵を開けていた。



「何をしている、逃げるぞ!ここはもうダメだ

とんでもねぇ化物がこっちにきてやがる

む……」



ふと、顔を上げて、アンジェリカの後ろにいる古市の存在に気づく。



「――――フン…。例の王族の契約者とかいう人間か…。娘を助けにきたんだろうが、残念だったな」



と、青筋をたてながら言い放つが、彼は王族の契約者ではありません。


まっ、そんなナレーションは置いといて……



首領は集まってきた部下達に向かって叫ぶ。



「回り込んで殺せ!!油断するな、仲間もいるはずだ!先生をお呼びしろ!!」



首領の指示の元、部下達は一斉に動き出す。



「くせ者だっ!!」


「であえーーっっ!!」



その言葉のあと、男鹿達は大人数の盗賊達に囲まれてしまう。



怯えたラミアは未希の右腕に、亜希は男鹿の背中にしがみつく。



「男鹿くん……」



しかし、男鹿は楽しそうに笑いながら言う。



「おいおいおい、こりゃあ大ピンチってやつじゃねーか?」


「なんでそんなに嬉しそうなのよ」


「わくわくすんだろ?」


「しないわよっ!

どこの戦闘民族よ!!」


「…………楽しめよ

男ってのはな、ピンチの時程、笑うもんだ」


「私達は女よっ!!」


「そーすりゃ、自然と力も湧いてくる。―――なぁ、ベル坊」



男鹿は背中のベル坊に声をかけるが、返事がない。



「―――…ベル坊?」


「ベルゼ様?」


「どうしたの?」


「おーい」



目を男鹿の背中に向けると、ベル坊が"ニタァ"と不気味に笑っていた。



そこに、首領の側近が割り込んでくる。



「何を突っ立っておる!!えぇい、のけ!!儂がやる!!」


「ザンガ様」



部下達を掻き分けて男鹿達の前にやって来ると叫びだす。



「王族の者とやらっ、儂は目付役のザンガと申す!!

いざ、尋常にぃぃ勝…」


――ブッ!!――




薙刀のような剣を振り下ろしながら潔く勝負を申し込んだが、突然大きくなったベル坊に驚き、勢いよく噴き出した。



盗賊達やラミア、姉妹が驚く中、魔王の親である男鹿は冷や汗を流す。



「……っ、なっ…なんと……」



ガク然とベル坊を見上げるザンガ。



「べっ、ベルくんが……」


「ベル坊君…これは一体……」



次第に青くなっていく男鹿と亜希の顔。



「…力が、湧き出してらっしゃるのでは……」



あわわと身体と声が震えるラミア。



「力…?」



未希が疑問の声をあげようとした時だった。




「ア゛ーーーーッ!!」




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ