君との子育ての日々 2
□バブ43
3ページ/4ページ
魔王の雄叫びを轟かせると、ベル坊の身体が大きくなっていく。
外の状況を知らない古市達は、疑問符を浮かべる。
「?」
「なんだ」
次の瞬間―――…
――ドゴォ!!――
大きくなったベル坊の手が古市の真上に伸び、鉄格子を破壊した。
「ぎゃあああっ!!」
「の゛ぉおおおっっ!!」
首領と古市の絶叫が同時に響く。
「あ…、あぁ……」
ガク然と見上げる先には……
「ダーーーッ!!」
ヴラドの主と同じくらい大きくなったベル坊の姿。
「ベッ、ベル坊…!?」
なんとか後ろを見る事ができた古市は、ベル坊のでかさに驚愕。
盗賊達は驚愕のあまり、声を揃える。
「でっかくなっちゃったーーっ!!」
(………とれた!!)
ようやく、鉄格子から顔が抜けた古市は、ラミア達に訊ねる。
「未希ちゃん、大丈夫!?ラミア!!なんだ、あれ!!男鹿と亜希ちゃんは!?」
古市が訊ねると、驚愕しているラミアと未希は震える手を巨大ベル坊に差す。
その先には、ヴラドの主に振り向く巨大ベル坊の耳元で必死に頭によじ登ろうとしている男鹿と亜希の姿。
「「「のってるーーっ!!」」」
全力で驚愕する古市、未希、ラミア。
その後ろの盗賊達は騒ぎ出す。
「化物が2匹!!なんなんだ、これは…っ!!」
騒ぎ立てる街の中を他所に、頭の上に男鹿と亜希を乗せた巨大ベル坊がヴラドの主と対峙する。
「「…………」」
声に出さずに驚くと、男鹿は立ち上がってなんとかベル坊に指示をだす。
「やれっ!!」
男鹿が叫ぶと、巨大ベル坊は両手を上げて駆け出していく。
すると、ヴラドの主も「ゴァアアッ!!」と叫びながら駆け出した。
そして、両者腕を掴みあった。
かくして、ヴラドの主vs巨大ベル坊の戦いの火蓋は切って落とされた。
この超展開に、未希は全力でベル坊を応援しているが、古市は1人呆れ返る。
(なんだ、これ……)
→あとがき