君との子育ての日々 2
□バブ44
3ページ/5ページ
一方、アンジェリカの手錠を引いて、城の外で今までの様子を見ていた盗賊の首領が言葉を漏らす。
「……っ、うぬぅ…
なんて事だ…。儂の街が…っ」
そこに、第三者の声がかかる。
「おっと、そこまでだ」
振り向くと、顔に手を当てて、カッコつける古市が立っていた。
「その子を放してもらおうか、ヒゲメーン。それとも、オレとおどるかい?」
「古市様!!」
「ちぃっ、小僧…っ」
首領はとっさにナイフを取り出した。
それでも、カッコつけている古市に未希は目を輝かせ、ラミアは呆れている。
(かっこいい〜!!)
「(本物のバカだ)アンタ、弱いんでしょ?」
呆れるラミアを横目に、古市は意地でもカッコつけ続ける。
「刃物か…、やめときな、そんな物(うわー、ナイフ出てきちゃったよ)
ケガするぜ?(オレが)」
表面上はスマートに挑発するが、本心はナイフにビビりまくり。
(くそぅ、弱そうだと思ったのに……)
「なんだと!?何故だ!!」
真顔で訊ねられてきた首領に対し、古市は少し曖昧に返す。
「何故って…、それはあれだ」
「どれだ!?」
「えー、つまり、一子相伝の暗殺拳がだな…
長兄と3男の間で……」
「なんの話!?」
古市がグダグダなでたらめを話をしていると……
――ズン!!――
巨大ベル坊の左足が彼らのギリギリの所に下りてきた。
アンジェリカとラミアと未希は寸での所で、古市は親指と人差し指の間で助かったが、首領は見事に踏み潰された。
「―――…」
古市はポーズをとったまま固まり、アンジェリカと未希は目を見開く。
巨大ベル坊が足を上げると、のびている首領の姿。
しばしの沈黙が流れ、古市は気まずそうに口を開く。
「……えーと…つまり………
こうなるって事さ!!」
「ムリヤリキメた!!」
いまだに興奮し、暴れるベル坊。
古市は数秒前を思い出し、滝のように冷や汗を流すと、巨大ベル坊に乗っているであろう男鹿に向かって叫ぶ。
「つーか、おいっ!!危ねーだろ、男鹿!!今のオレ…指のすき間だぞ!?
たまたまうまくいったからよかったもの……。聞ーてんのか、おいっ!!お…」
男鹿への抗議は、近づいてくる足によって終わってしまう。
「え?……ちょ」
戸惑いの声を出すが、巨大ベル坊の足が下りてきた。
「ぎゃああああっ!!」
容赦なく踏み付けてくるベル坊の巨大な足に潰されまいと、古市は未希の手を引いてラミアやアンジェリカと全力疾走。
「おいおいおいっ!!
なんだ、これ!?ベル坊暴走!?
男鹿は何してんだよっっ!!亜希ちゃんは無事なのかよ!!」
、