君との子育ての日々 2

□バブ48
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ヒルダが疑問符を浮かべていると、カズは頭を下げながら叫ぶ。



「お初にお目にかかりますっ!!姐さん!!

自分、今日から男鹿さんの舎弟やらせて頂きます!!

山村和也と申します!!

男鹿さんの奥さんですね!?

以後、お見を知りおきを!!」



近所迷惑になりそうなくらいデカイ声で挨拶したカズ。



「…ほう。ほうほう!!舎弟!!」



ヒルダが納得の声をあげていると、後ろから、ご飯を食べている男鹿と亜希がひょっこりと顔を出す。



「あれ?君、昨日の…」


「マジで来たのかよ……」



亜希がキョトンとし、男鹿が呆れると、カズは明るい声で言う。



「男鹿さん、亜希さん、お迎えにあがりました!!」



生き生きとした表情で言うカズを背中に向け、ヒルダは男鹿に声をかける。



「舎弟というと家来の事だな。フン、少しは出世したではないか」


「ダーッ」



ヒルダの言葉に、ベル坊が得意げに叫んだ。



「そんなんじゃねーよ」


「ふふっ、でも可愛いじゃない」


「そうか…?」




――――――――




「いってらっしゃいませ」


ニコニコと笑うヒルダを背中に、男鹿達は学校に向かう。



「行ってきます」


「亜希」



頭を下げて背を向けようとした時、ヒルダに呼び止められる。



「はい」



そう言って、亜希が振り返った瞬間―――


――チュッ――



ヒルダは亜希の手を引き、頬に口づけを落とした。



「ヒッ…ヒルダさ…「ヒルダぁっ!!てめ、亜希に何しやがる!!」



真っ赤な顔で驚く亜希を抱き寄せ、男鹿はヒルダに怒鳴る。



「見てわからんか?いってらっしゃいのキスだ。この国では夫婦の習慣らしいな」


「てめー、亜希と結婚してねーだろ!!それ以前に同性じゃねーか!!」


「フン、愛に性別など関係あるものか。大事なのは愛する気持ちだろう」


「いや、性別は関係あるだろ!!」



朝から繰り広げられる亜希を巡った口論。


目の前の光景に、カズは目を輝かせる。



(スッ……、すげー!男鹿さんと姐さんに溺愛されてるとは…。さすが、伝説の美少女!)


「…………?」



しかし、当の亜希はわけがわからず、首を傾げるだけだった。




―――――――




「おら、行くぞ」



亜希を取り返した男鹿は、彼女の肩を抱いて歩きだした。



「う、うん。それじゃあ、ヒルダさん、行ってきます」


「気をつけてな」



凛とした表情のヒルダに見送られ、男鹿達は学校へと向かう。




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