君との子育ての日々 2

□バブ48
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5人は電車に乗り、吊り革に掴まる。


そんな中、古市が山村に話しかける。



「でもさァ、山村君は――…」


「あ、カズと呼んでください」


「いや、山村君はなんでまた男鹿なわけ?」



カズの申し出をあっさりとスルーすると、質問を続ける。



「聖石矢魔って、不良とかいないの?」


「そうっスね…。基本、優等生の学校なんで…

いや、まぁ、強い人はいるんですけどね、なんつーか、オレはやっぱ、不良のがかっこいいつーか、憧れるっつーか……」



カズのこの言葉に、男鹿の表情が鋭くなる。



「いるの?」


「え?」


「強い奴」



静かにされた疑問に、しばし、沈黙が流れる。



「いや、まぁ、強いっつっても、不良じゃないっスからね!!

全然、別次元の人達ですよ!!」


「別次元?」


「二次元や三次元とか…、そっちの世界の人って事?」


「いっ、いやそーじゃなくて…」



キョトンとした表情の亜希の質問に、カズは慌てて返す。



「早い話、競技のエキスパートですよ

うちの学校、部活動が盛んでして…

剣道、柔道、空手にボクシング、その他にもいろいろ

インターハイに出場しちゃう様な人達がごろごろといるんですよ」


「へぇ―――」



亜希が声を上げると、カズは話を続ける。



「―――で、その中でも、トップクラスの人達が毎年6人選ばれて、うちの学校の生徒行事を取り締まってるんです

ある意味、生徒会より権限を持った連中です

それが、聖石矢魔部長連合


またの名を『六騎聖』」



電車から降りた5人は、歩いて聖石矢魔へと向かう。



「彼らに睨まれると大変なので、うちの学校で不良になろうなんて奴はいません」



カズの話に、男鹿は嬉しそうに返す。



「ほう、それはつまり、オレ達は既に睨まれてると…?」


「いやいや、問題さえ起こさなければ大丈夫ですよ、多分

―――って、あれ?オレ、なんかたきつけちゃいました?」


「いやいや」



話を聞き、楽しそうに笑う男鹿、少し引きつり気味に笑うカズ。


その後ろの古市は一人思う。



(六騎聖だぁ?

また変なもんが出てきたな。東邦神姫みたいなもんか?)



すると、前を歩く男鹿は古市達に言う。



「フフフ…。古市君、亜希ちゃん、未希ちゃん、オレ、わかっちゃいました」


「何が?」



未希が疑問符を浮かべながら訊ねると、男鹿は背中を向けたまま話す。



「何故、今まで他の奴にベル坊はなつかなかったのか…

ヒルダも言ってたろ?腕力だけではダメなんだよ

―――つまり」



ここで、男鹿はキリッとした顔で振り返る。



「バカはダメなんだ」





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