君との子育ての日々 2

□バブ53
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「……………」



カズの言葉に寧々は、一瞬眉をひそめた。



「とにかくっ!!神崎を運ぶわよ

ほらっ、あんた達もボサッとしてない!!」


「うっす」


「お…オレもっスか?」



疑問の声をあげるカズを横目に、寧々は教室の中へ。



「男鹿!!あんたもそいつと戦っちゃダメよ」


「あん?戦わねーよ」



そう言うと、親指でベル坊を指す。



「だって、ベル坊、こんなだぜ?」



男鹿の背中に引っ付くベル坊は真っ青な顔を『ないない』と言わんばかりに横に振った。



「ベルくん……」



異様に怯えるベル坊を見た亜希は、ハンカチを取り出して、ベル坊の冷や汗を拭く。



「うー……」



しかし、次々と汗が流れ、拭いても拭いても拭い取れない。


その様子を見た寧々は苦虫を噛んだような表情で、男鹿に忠告する。



「神崎を沈めた一撃…

正直、ゾッとした。相手にしない方がいいわ。あんたでも、勝てるかどうか…」


寧々の不安げな忠告。


しかし、男鹿は返す。



「だから、戦わねーっつの。オレをなんだと思ってんだ」



ここで、今まで黙っていた三木が口を開く。



「―――ふぅん…

それが東邦神姫の神崎…」



すると、三木は冷淡な表情で神崎を見下ろしながら告げる。



「石矢魔のトップって…

その程度なんだ」



この言葉に、寧々は静かに反応する。



「あ?」


(あの子―――!!)



「先生、止めないんですか?」


「三木君を信じているからね」


(弱っ)




教卓の影に避難した教師、教壇に逃げた生徒が見守る中、三木は淡々と感想を述べる。



「ちょっと思っただけですよ

こんなのに勝っても自慢にならないなって…。だって、そうでしょ?弱すぎますよ」



三木の一言一言に、寧々に怒りが沸き上がる。



三木の言動が挑発と気づいた葵と亜希は、慌てて寧々に言う。



「待って、寧々!!」


「キレちゃダメ!」



葵と亜希は制止の言葉をかけるが、三木はさらに寧々の怒りを煽らせる。



「そのクセ、やる事だけはハデだ。人の迷惑も省みず、虚勢をはる為だけに暴力をふるう。不良ってこんなのばかりですか?

こんな不良校にいる亜希さんと未希ちゃんがかわいそうだ」


「そ…そうだ…」



この賛同の一言に、クラスメイト達の声が弾け飛ぶ。



「そうだそうだ!!帰れ、バカヤロウ!!」


「いいぞ、三木!!」


「てめぇらなんか、さっさと六騎聖にやられちまえばいいんだ!!」


「迷惑なんだよ、チンピラ共が!!」


「オレ達の平穏を乱すんじゃねーよ!!」



沸き上がるクラスメイト達の非難の声に、葵達はア然とするが、寧々の苛立ちが込み上げる。


そこへ、三木が嘲笑うように言う。



「―――やめなよ、みんな…。これでもこの人達本気なんだ






かわいそうじゃないか」



三木のこの一言に、寧々はついにぶちギレた。



「元はといえば、あんたんトコのバカ共が…」




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